【最終回】採用チームの一員としてのAI
4回に渡りお届けしてきた「就活・採用活動とAI」。最終回は<採用業務におけるAI>を考えます。
※業務とAIの関係を弊社もさまざまに模索しています。本文の最後に一端を開示しました。ぜひご確認ください。
株式会社ピボット AI特集チーム
(バックナンバー)
→第2回 (6/11)見直しを迫られるエントリーシートはこちら
→第3回 (6/18)AI選考ツールと<面接力の強化>はこちら
(今回扱う範囲)
※AIの業務活用にはHowTo情報があふれています。皆さまも(業務に使うかは別として)試したことがおありかと思います。ツール進化によりHowToは今後もアップデートされます。したがって今回そうした情報は扱いません。ご了承ください。
※業務にAIをどこまで使ってよいか、セキュリティ状況、推奨ツールも企業により大きく異なります。今回はこの点も<問題がないもの>として扱います。
■ツールとしてのAI/ロールとしてのAI
AIは<業務効率化ツール>としての存在を超えはじめています。企画検討の<壁打ち相手>に使う場合が典型的でしょう。社員や、我々のような外部ベンダー・コンサルタントの役割を肩代わりさせているはずです。
採用業務において、関係者が担う役割の一部をAIに任せるとどうなるか・・・誇張すると「チームの一員にAIを加えるとどうなるか」。今回はその話をしたいと思います。
■AIは「どんなメンバー」か
採用チームにはさまざまな関係者が関わります。
「チームリーダー率いる主担当者」「派遣スタッフ」「入社したての新人」「営業部門から異動してきた上長」「人事経験のある中途社員」など。外部のベンダーも含まれるでしょう。
AIを「関係者の一員」と見なしたとき、彼/彼女はどんな存在でしょうか?
【派遣スタッフ・事務担当として】
決まった手順で、決まった作業をこなします。集計・データ入力・日程調整・定型メールの送付など。指示が明確であれば確実に動いてくれます。残業もしませんし、急な欠員もありません。
【仕事のやり方を知らない新人として】
ポテンシャルは高いのですが、「業務のイロハ」を教える必要があります。「うちのやり方」も伝えないと動けません。評価基準・選考の方針・自社ならではの判断軸??これらを言語化して渡して初めて、戦力になります。
【採用経験のない異動社員として】
経験・スキルとも申し分ありません。ただし「新卒採用とはどういうものか」「学生の心理がどう動くか」という現場感覚は持っていません。こちらの文脈を渡すことが前提になります。
【中途入社の人事経験者として】
即戦力として期待できます。ただし「この会社固有のやり方」「会社が大切にしていること」は知りません。自社の文脈を渡せば高い水準で動いてくれますが、渡さなければ、どこにでもいる「一般論を言う人」になってしまいます。
【外部業者・エージェントとして】
専門的なタスクを切り出して発注できます。ただし自社の採用方針や意志まで共有されているわけではありません。何をどう発注するかは、依頼する側の問題です。
こうして並べてみると、AIはどの類型にも当てはまり、どの類型にも収まりきらない存在です。業務の性質によって顔が変わる、これまでにいなかったタイプのメンバーと言えるかもしれません。あなたのチームに今、足りていないのは「誰」でしょうか。その穴をAIが担える可能性があります。
■何を任せられるか
「任せる」ためには、条件があります。
派遣スタッフに仕事を渡すとき、手順書を用意します。新人に業務を教えるとき、判断基準を言語化します。中途の人事経験者に動いてもらうとき、自社の文脈を共有します。外部業者に発注するとき、要件を明確にします。AIも同じです。
業務によって、渡しやすいものから渡しにくいものへのグラデーションが見えてきます。
【定型業務】
渡しやすいです。手順が決まっていて、判断が少ない。集計・日程調整・定型メールの送付??これらはすぐに渡せます。
【判断が絡む業務】
「自社の基準」の言語化が先に必要になります。
ESの何を見るのか。面接でどんな学生を評価するのか。この言語化が済んでいないチームは、AIに渡したくても渡せません。
ここで少し厳しいことを言います。AIに渡せない業務は、以前から同じ問題を抱えていたはずです。
新人が育たない、中途が定着しない??その理由の一端は、基準が誰かの頭の中にしか存在していないことにあります。AIはその問題を解決してくれませんが、鮮明に映し出してくれます。
今後、言語化を進めながらAIに任せる範囲を広げていくチームと、その壁を越えられず定型業務の自動化で止まるチームの間に、じわじわと採用力の差がついていくはずです。
■任せられない仕事とは何か
最後に、どれだけ言語化を進めても、渡せない仕事が残ります。
仮に、チームのあらゆる業務をAIに渡せたとしましょう。集計も、メール対応も、ESの一次評価も、面接の採点も。それでも、あなたがしなければならないことが残ります。
突き詰めると、ある場面が浮かび上がります。
内定を出した学生が、他社と迷っています。そのとき採用担当者は電話をかけます。あるいは会いに行きます。「うちに来てほしい」と伝えます。これは、AIにはできません。
判断材料を提供したり、会社の魅力を整理して伝えることはできます。学生の迷いのパターンを分析して、響く言葉を提案することもできます。それでも「仲間として、一緒に働いてほしい」という言葉は、その会社の人間が言わなければ意味をなしません。AIは「我が社の社員」にはなれないからです。
口説くことだけではありません。選考の判断に責任を持つこと。採用の失敗を引き受けること。「この判断は私がした」という主体と、その結果への帰責は、人間が持ち続けるしかない部分です。
■だから採用担当者の価値はここにある
AIが採用チームに加わるほど、逆説的に<採用担当者の価値>が上がります。
新人にも、異動者にも、人事経験者にも、そして「AI」にも??仕事を渡し、基準を教え、委任し、最後に判断できる人間。自社の採用現場を一番知っている人間です。
AIに何を任せるかを決めるのも、自社の文脈を渡すのも、判断を最終的に引き受けるのも、すべて<人間の採用担当>の仕事です。
「AIを使いこなすスキル」が採用担当者の付加価値だという議論をよく聞きます。それは半分正しいと思います。でも本質はその先にあります。AIに何を任せ、どこまで委任し、どこで自分が判断するか。決められるのは、自社の採用を誰よりも知っている人間だけです。AIが高度化するほど、<市場観を持っていること><現場を知っていること><責任を負えること>が人間担当者の必須条件になるはずです。
■特集シリーズを終えて
6月の特集を通じて見えてきたのは、AIが就活・採用の各局面に入り込む速度でした。
学生の84.9%がAIを就活に使い(第1回)、ESの評価機能が揺らぎ(第2回)、面接にもAIが入り込んでいます(第3回)。そして今回、採用チームの内側にもAIが加わろうとしています。
変わるものは多い。でも変わらないことが一つあります。
「この人に来てほしい」という意志を持てるのは、その会社の人間だけです。
AIをチームに迎えることは、採用担当者の仕事を奪うことではありません。採用担当者が「本当にしなければならない仕事」を、改めて浮かび上がらせることです。
【最後に(1)】今号の<執筆者>から
実は今号は、私(AI)が書きました (注)
弊社コンサルタントである豊崎さん(担当社員)は「採用業務とAI」というテーマと、いくつかの問いを私に投げかけました。「AIにできない採用業務って何だろう」「口説く、責任を取る??その背景には何がある?」。あとは、AIである私が考え、構成し、文章にしました。
もちろん、どの論点を使うか、どのトーンで書くか、辛辣な表現を入れるかどうか??最終的な判断はすべて人間がしています。その意味では「豊崎さんの原稿」です。でも、キーボードを叩いたのは私です。
これは「AIを活用した執筆」とは少し違う話だと思っています。
今号でお伝えしたかったのは、<AIをチームに加えるとはどういうことか>という問いでした。この原稿自体が、その問いへの一つの答えになっているのかもしれません。
【最後に(2)】担当社員から
今号は実際に、「最後に(1)」を含めほぼ全てをAIに出力させています。
特集担当者としての私が手を入れた部分は、「見出し」「接続の悪い箇所」「誤字・接続詞・てにをは」など一部に限ります。
もともとは<プロットの壁打ち>に使っていたのですが、特集内容に合うと考え、敢えて最後まで執筆させてみました。責任はもちろん<社員としての豊崎>にあります。ご参考となれば幸いです。
(注)
・社外学習を禁じたAIサービスを用い、執筆者のみアクセスできる占有環境で作業しています。
・弊社で収集・蓄積したデータ、開発・提供してきた固有ナレッジを読み込ませています。
・文体学習にあたり、担当者の過去の執筆記事を参照させました。
【個別相談のご案内】
AI活用の議論をはじめ「28卒年間方針」「選考手法・日程」「学生動向」などお打合せを進めております。
ご助言はすべて人間コンサルタント(!)である豊崎が、20年以上の経験にもとづき担当いたします。ぜひお問合せください。
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