【第3回】AI選考ツールと<面接力の強化>
株式会社ピボット シニア・コンサルタント 豊崎康弘
就活・採用活動とAIの関係を考える今月の特集。3回目は「面接」について考えます。
インターン選考への導入から始まり、28卒では本選考での本格展開が予想されるAIツール。しかし、提供ベンダーは大小多岐に渡り、「できること」も異なります。
これから導入する企業さま向けの参考情報から、2年後、3年後を見越した進化の方向まで、なるべくコンパクトにまとめました。
→第1回 (6/4) 就活・採用活動に入り込むAIはこちら
→第2回 (6/11) 見直しを迫られるエントリーシートはこちら
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■ 混在する利用目的 ――省力化か評価精度の向上か
採用支援の現場で耳にするのは「AI選考をどうするか考えたい」というお題です。
しかしその中身は多様で、採用チームの中で「用途・目的」がぼんやりしている場合も珍しくありません。
AI選考に関するさまざまなご相談をかみ砕くと、2つの方向性が見えてきます。
1) 面接にかかる人的工数の削減
社員への過剰な負担を「AIが解決してくれるのでは?」という期待。実際、導入事例では大幅な工数削減に成功したケースが紹介されています。一方で、大量の応募者が集中する企業では「利用料金の予算が下りない」というお悩みも。
2) 面接官の「ブレ」防止
面接官が「正しく評価できているのか」は、どの企業も抱く漠然とした不安です。特に人事部門以外の若手に初期面接を頼む場合、「採用側が期待する面接」になっているのかチェックが難しいのが正直なところ。
AIツールの導入で、面接官任せの評価を標準化する用途です。
面接評価にAIを導入する目的は、おおよそこの2点に集約されます。まとめると、「初期の面接に人の関与を減らし、画一的な評価を行う」ということになります。
・ ES内容をAIに読ませてスクリーニング
・ 動画面接で「ガクチカ」の深掘りをAIに任せる
利用局面としてはこの2形態が代表的。利用ツールは「SHaiN」が多いようです。
SHaiN (タレントアンドアセスメント社) https://shain-ai.jp/
〈補足〉 AIによる均質化の弊害
AIが行う面接は「構造化面接」と呼ばれるもので、性質上「学生も対処しやすい」形式です。
大学でも「面接練習ツール」が利用され始めており、学生も、自分のAIアカウントで面接練習を行っています。
「学生がAIを使って構造化したガクチカ」を「面接AIが構造解析する」徒労が、今後問題化すると思われます。
■ 面接官の支援と負担軽減
AI導入によって「面接官の負担軽減」「面接レベルの向上」も大きく期待できます。
面接官の負担軽減については、「人とAIで役割を分担するケース」と「AIが面接官を支援するケース」があります。
(役割分担のケース)
・AI面接で浮いた人員工数を「次の面接」に回す
・AI面接と同じ材料(ES・動画アピール)を、人間の目でも重複チェック など
(面接官を支援するケース)
利用が最も進んでいるのは「面接記録の文字起こし・要約」です。学生が提示する、『わかりにくいES』『ピントの外れた自己アピール』を整理し、理解しやすくなる効果があります。
さらに、今後期待されるサービスには「面接官へのバイアス・フィードバック」があります。「考課者訓練」をAIに外注する考え方です。
(代表的なツール)
harutaka (ZENKIGEN社) https://harutaka.jp/
■ 「評価の質」のレベルアップ
現在は「人にしかできない」と思われている、機微に渡る評価、「わが社固有の<光る人物>」をAIで見極められないかという期待です。HRテックの領域ではすでに試行が始まっています。
「わが社固有」とは言わずとも、ガクチカ評価「より高度な」面接をAIに任せる取り組みは始まっています。「ケース面接」「グループディスカッション」への応用は、既存のAIツールにも「実現可能」とするものがあります。実用性についてはまだ評価が分かれるようですが、今後確実に進んでいく領域です。
「わが社固有の評価」に話を戻します。
大前提として、固有とされる「暗黙知」をAIに学習させる必要があります。暗黙知の形式化は、面接に限らず採用全般で進んでいない領域でもあります。
今後、AIがさらに深化すれば、「人間が教え込まなくても」自己学習してくれるサービスも出現すると思われますが、現状では地道に「AIに大量の評価データを教え込む」必要があります。
■ 目指すべきは「面接インテリジェンス」の強化
面接評価へのAI導入はアメリカが進んでいます。海外動向の情報源として、リクルートワークス研究所の2024年のレポートをご紹介します。
リクルートワークス研究所 : 世界の人事が注目する『HRテクノロジー』
https://www.works-i.com/research/labour/column/ttl2023/detail009.html
このレポートでは、HRテックの新領域として<面接インテリジェンス>を掲げました。
「AIが質問の作成や内容要約、面接官へのコーチングなど面接全般をサポートするプラットフォーム」のことを指します。あくまで「ベンダー視点」「テクノロジー視点」の整理と言えるでしょう。
しかしこのコンセプトは、企業が組織全体として「面接能力を底上げする重要性」と「AIツールが強化をアシストする未来像」が含まれている・・・そう考えるべきではないでしょうか。
言い換えると、<面接インテリジェンス>とは、「面接の信頼性と評価基準の高度化を、組織として継続的に高めていく力」のことです。AIの導入とは無関係に、どの組織も取り組むべきテーマと言えます。
弊社で「AI選考」のご助言を行う際には、常にこの基本に立ち返るようにしています。
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