株式会社ピボット シニア・コンサルタント 豊崎 康弘
今月のウィークリーレポートは、4号を通じて「就活・採用活動におけるAI」を取り上げます。
テーマを設定した理由は単純です。就活にも採用活動にも、AIがすでに深く入り込んでいるからです。
学生はESをAIで書き、企業はAIで選考する。
双方がAIを手にした今、採用活動の「前提」が静かに、急速に変わっています。
今号では特集の導入として、何が起きているかを整理し、今後4週にわたって議論する論点の全体像を提示します。
■ 数字が示す「当たり前」への変化
まず、学生側の実態から確認しましょう。
マイナビが行った27卒対象の調査(2026年4月)によると、就活でのAI利用経験がある学生84.9%。24卒は18.4%でしたから、わずか3年で約4.6倍に達した計算です。
以下が利用目的の内訳です。
・ESの推敲:71.8%
・面接対策:56.2%
・ESの作成:55.0%
AIを使う理由として最も多かったのは「作業時間の短縮」でした。一方で「自分だけで決めるのは不安(28.8%)」「AIのほうが精度や質が高い(25.7%)」などのAI依存傾向が見られるのも気になるところです。
学生にとってAIは「ズル」ではなく「インフラ」になりつつあると言えます。
参考文献の確認や誤字脱字のスペルチェックを使うのと、感覚的には同じ位置づけに近づいています。
(出典:マイナビ「2027年卒大学生キャリア意向調査4月」
https://career-research.mynavi.jp/reserch/20260526_110798/
■ 広がる「二極化」――使う学生と使わない学生
ただし、全員が同じようにAIを使っているわけではありません。
注目すべきは「二極化」の進行です。
AIを積極的に使いこなす層と、ほとんど使わない層の分断が生まれています。
前者は、AIを使って作成したESの通過率を検証し、プロンプトを工夫し、複数社への大量応募を効率化しています。
後者は、「自分の言葉で書きたい」「AIに頼るのは違う気がする」という意識から距離を置いています。
企業の採用担当者が向き合っているのは、この両極が混在した母集団です。
「AI生成か否か」を見抜く以前に、「どの層の学生が来ているか」を意識する必要が出てきました。
■ 採用現場を混乱させる「ESの機能不全」
学生のAI活用が進むにつれ、採用現場ではESへの懐疑が広がっています。
いち早く報道されたのが、ロート製薬の事例でした。
同社は2025年12月、27卒採用からエントリーシートによる書類選考廃止を発表。代わりに人事担当者との15分間の対話「Entry Meet採用」を導入しました。理由は「生成AIの普及でESの内容が均質化し、一人ひとりの個性を十分に捉えられなくなった」ことでした。
本メールニュースの読者(会員企業様)からも、「ESの改廃」に関する相談が続いています。ESに限らず、面接(動画面接)をAIに任せることの可否・効果検証もホットな論点です。
■ 企業もAIを使う側へ――「AI×AI」の構図
採用側のこうした動きを学生はどう受け止めているのか。
マイナビの同調査では、企業がAIを使って選考することへの賛否が選考ステップによって明確に分かれています。
・適性検査へのAI活用:賛成49.8%(受け入れられやすい)
・面接内容へのAI活用:反対47.5%(受け入れられにくい)
AI面接の導入は、学生の納得感・志望度にも影響しうる設計変数です。
「数値で出る結果はAIに任せていい、でも人物評価は【人】が行ってほしい」
採用側としては、面接にかかる人的負担と「利用料金」をどう考えるかの問題でもあります。
学生がAIを使い、企業もAIを使う。
採用の現場は今、「AI×AI」の構図に入り込みつつあります。
■ 今月の特集:3つの論点
こうした変化を踏まえ、今月は以下3テーマを順に取り上げます。
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【第2回・6月11日号】ES評価とAI
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学生はどのようにAIを使ってESを書いているか。
「AI生成ES」を企業はどう読んでいるか、読めているか。
そして、ES設計そのものをどう見直すべきか。
学生側の行動実態と、企業側の対応の両面から掘り下げます。
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【第3回・6月18日号】面接評価とAI
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AI面接・AI面談ツールの実態と、導入企業の設計意図。
学生側はAI面接をどう「攻略」しようとしているか。
そして、対話・非言語・リアルな場の価値はどこにあるか。
「AIに評価されること」への学生の賛否も、重要な論点として扱います。
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【第4回・6月25日号】採用業務における「AI担当者」
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採用担当者自身がAIを使うとはどういうことか。
スクリーニング・日程調整・応募者対応・社内資料作成など、実務レベルでのAI活用の可能性と、留意点を整理します。
■ 最後に――この記事を書いたのは?
実は、この記事そのものが「AIとの共同作業」によるものです。
論点を定め、仕上げたのは人間である私(コンサルタント:豊崎)ですが、途中のプロセスはすべて「AIとの対話」によるものです。
※社外学習を禁じたAIサービスを使い、弊社固有のナレッジ・文体を読み込ませています。
如何だったでしょうか。いかにも「AI臭い」記事ではなく、ふだんの原稿と変わらぬ論調になっていればよいのですが。
「AIに発注し、いわば上司として指導・育成する」関係へ。
この論点は最終回(6月25日号)であらためて取り上げます。
◆このテーマについてのご相談・壁打ちを受け付けています
「AI選考の導入を検討したいが何から始めるべきか」
「ESをどう設計し直せばよいか、自社なりの答えを出したい」
「トップ学生層のAI活用状況は?」
今月の特集テーマを中心に、個別のご相談・情報提供・壁打ちを行っています。
貴社の具体的な課題に対して、市場トレンドとの整合性や実装上の留意点をご提供します。
下記URLから候補日をご指定ください(所要時間60分)。
https://app.spirinc.com/t/FnSXE-cdZcg0CfAVSpny_/as/h_TM_TW64YFZpDhw-3_NU/confirm-guest
個別相談・ご助言担当:豊崎
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