株式会社ピボット STUDENTS'REPORTご助言担当 豊崎康弘(シニア・コンサルタント)
28卒採用の全体設計が本格化しています。
「コース別採用」「入口としての夏インターン偏重」などの基本トレンドは、28卒も変わらないと予想されます。
「採用コースの複線化」「採用シーズンの長期化」で、チームの業務量とマネジメント負荷は限界に達しています。
今週号では、この解決に資する取組みを、既に始まっている動きから「5つのキーワード」でご紹介します。
【キーワード1】6月選考の消失
【キーワード2】シーズン長期化からコンパクト化へ
【キーワード3】選考日程は完全オープンへ
【キーワード4】マイページ広報の強化
【キーワード5】AI選考
【キーワード1】6月選考の消失
#コース設計 #年間計画 #選考プロセス&スケジュール #業務効率化
【起こっていること】
接触開始時期ごとに内定時期を分割した結果、多くの企業が複数の内定時期を設けています。26卒の場合「年内/1〜2月/3〜4月/5〜6月」という4つの山が存在しました。
これまでは「3〜4月/5〜6月」の2つの山を持つ企業が多かったのですが、27卒では「5〜6月選考の消失」が観察されています。
6月選考を公式に廃止する場合と、日程を全体に早めた結果としての消失の両パターンがありそうです。
【何が解消されるか】
この取り組みは、市場の早期化に引きずられた「受け身の対応」とは限りません。
最終の内定時期を3〜4月とすることで、「今期選考と来期夏インターン募集の日程被り」が解消に向かいます。
長らく採用チームを悩ませてきた「複数年度を並行して進める」無理を軽減することができます。
【導入にあたっての検討点】
5〜6月の遅めの選考では「体育会学生が採りやすい」「優秀層の落穂拾いができる」という声もありました。
自社が重視するターゲット学生によっては廃止すべきではない場合があります。
また競合企業の内定が遅い(旧来型)の場合、歩留まりを読みにくくなる弊害にも注意が必要です。
【事例・関連記事・ニュース】
27卒主要企業の募集コース・エントリー情報(メーカー・サービス編)(1/28時点)
【キーワード2】シーズンは「長期化からコンパクト化」へ
#コース設計 #年間計画 #選考プロセス&スケジュール #業務効率化
【起こっていること】
採用人気(集客)が非常に強い企業では、
夏インターンは実施せず「秋冬インターンから早期(年内〜2月など)内定に繋ぐ」
ケースも登場しています。
【何が解消されるか】
これにより、採用プロセスが(期間の面で)コンパクト化します。
出会いが8月のインターンだった場合、かなり早い1月に本選考を行ったとしても、本選考参加まで4か月程度学生をフォローして引っ張らねばなりません。
12月のインターン参加→1月の本選考であれば、選考までほぼダイレクトにつなぐことができます。
(結果的に、外資系企業のインターンシップの運用と類似していきます)
【導入にあたっての検討点】
夏のインターンシップで他社と既に接触を持っている学生に対し、遅れて接触する形になります。
「自社の採用競争力に自信がある」「他社の広報すらも上手く利用する」といった条件がそろわない場合は、緻密なシナリオ設計が必要です。リスキーな一手になりかねません。
【事例・関連記事・ニュース】
秋冬以降に複数日程インターンを実施する商社(三井物産※、伊藤忠商事、住友商事※、双日)※デジタル職は夏に実施
【キーワード3】選考日程は完全オープンへ
#広報 #採用サイト #学生UXUI
【起こっていること】
「採用の複線化と長期化」は、就活生にとっても物理的・心理的な負荷です。
「この先どういう募集枠が開くか分からない(のでコースを選べない)」
「いつ頃選考が始まるか予想がつかない」のでは、応募の手控えにつながります。
企業が皆同じような時期に選考・内定出しをしていた時代は、時期の設定が競争力につながったので「手の内を隠す」必要がありました。
現在はむしろ、分かりやすい説明こそが採用競争力につながります。
「採用コース」「各コースの選考プロセス&スケジュール」は「全体像を示した一枚絵」が採用サイトで明示されるようになってきています。
【何が解消されるか】
応募コースが選べないという、本質的ではない理由での応募控えを防ぎます。
また、オープンチャットなどでの「学生の不確かな憶測合戦によるレピュテーションリスク」からも解放されます。
【導入にあたっての検討点】
できれば全体像を1回で公開することが望ましいため、早い時期に全体像を確定することが必要です。
情報を順次公開する方式の場合、「学生から見落とされるリスク」「公開時のミスの発生などサイト更新負荷・リスク」が懸念されます。
【事例・関連記事・ニュース】
【キーワード4】マイページ広報の強化
#広報 #ターゲット対応の最適化
【起こっていること】
採用活動の全体像はオープン広報される一方で、マイページ経由での「ターゲット別の情報提供」が活発化しています。
【何が解消されるか】
「応募コースが増え→ターゲット別に案内すべき局面も増えた」ため、マイページの更新の機動性の高さが重宝されたのだと思われます。
【導入にあたっての検討点】
マイページの充実について、ベンダーからは「ログインしないと見られない特別コンテンツの作成」が提案されることが多いですが、ブランド系コンテンツは飽和気味です。
・ターゲットに合わせたレコメンドによりロイヤルティを育てる
・スカウトとの連動を強め、事前スクリーニングの精度を上げる
といった方向に強化することがおススメです。
【キーワード5】AI選考
#選考手法 #業務効率化
【起こっていること】
コース別採用や複数種類のインターン実施で選考を回す頻度が増え、いっそう選考活動の負荷が重くなっていました。
AI選考の精度向上も相まって、初期選考(書類選考や1次選考)の一部としてAIを導入する企業が増えてきています。
※ただし、AIによる選考単独で合否を決めるケースはほとんど見られません。
【何が解消されるか】
「学歴・資格・スコアなどのデモグラフィックデータ」「ガクチカの論理チェック=定型的な深掘り」など、人がチェックしていた要素の一部を代行させることで、「工数削減」「評価の標準化」を期待できます。
論理を使った選考は得意なので、スキルを持った面接官がいなくとも「ケース面接」などを導入できます。
面接の議事メモおよびその要約などを代行させることも可能です。
【導入にあたっての検討点】
多くのAI選考サービスは、世間的に注目を浴びている「生成AI」ではなく「ルールAI」タイプです。
すなわち「あらかじめ設定した論理構造に基づいて判断する」タイプなので、「自社の選考基準をどれだけ論理化できるか」によって選考精度が決まります。
以前、「ESのガクチカ設問設計」をテーマにまとめた記事は、ガクチカの論理構造設定に転用できると思われますので、ご参考ください。
なお、評価精度は実用に耐えうるものになっている印象ですが、単独で選考判定に使うためには、今少し学生の納得感の醸成を待つ必要はありそうです。
【事例・関連記事・ニュース】
三菱商事、住友商事、丸紅(ケース面接)、農林中央金庫、キリンHD、サントリーHD、NTTドコモ、ローソンなどがAI面接を導入
【本資料に関するお問合せ】STUDENTSʼREPORT編集部support@pivot-inc.co.jp|050-3649-7671
©株式会社ピボット「STUDENTSʼREPORT」は株式会社ピボットの著作物です。会員以外の閲覧および無断転送、複製、転載はご遠慮ください。
