前号では、限られた時間でできる28卒戦略策定の実践的な手順をご紹介しました。
▼ステップ0: 「戦略のアウトライン検討」を簡易的に行う方法
▼ステップ1: 26卒実績データを活用した仮説・予測(=市場の傾向・流れを把握)
▼ステップ2: 27卒前半期データによる仮説の検証&自社の活動評価
▼ステップ3: 自社に応用可能な「好事例の選定」と「来期計画ラフ案の策定」
→先週号はこちら
先週予告したとおり、今回は上記「ステップ1」の市場読み解きの一例として、STUDENTS’REPORT(本サービス)でご提供している26卒データを利用した選考形式の分類と、業界別の傾向分析を行います。
→利用データはこちら(すべてExcel)。本メールを購読いただいている会員企業様は、分析・加工などご自由に活用いただけます。
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A.主要企業のエントリー締切一覧
【26卒】夏季採用・6月以降の追加募集(25/5/27時点)
B.主要企業の選考プロセス一覧(『CASE&TREND トレンドリーダーの選考』)
今回は総論的なまとめですが、実際の戦略策定ではベンチマークする競合を絞り、自社の選考の在り方と比較しながら勝ち筋を定めていくことが必要です。
より具体的な読み解きを希望する方は、こちらまでお問合せください。
「自社の課題やビジョンのヒアリング→参考になる他社事例紹介 + 28卒スケジュール設計の論点絞り込み整理」まで、おおむね60~90分程度の無料相談でご対応可能です。
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【26卒】選考プロセスのパターン分類
26卒選考プロセスは、早期/オープンの組み合わせから、大きく3パターンに分類できます。
1) 早期選考型(選考直結インターン経由のみ)
2) 早期選考+オープン選考併用型
3) オープン選考型
※2)早期選考は3月末までに内定を出すイメージ
以下、各パターンの特徴、メリット、課題などを整理します。
1)早期選考型(選考直結インターン経由のみ)
事例:三井物産(内定時期:3月と6月の2回
特徴
- 本選考の1ステップにインターンを組み込む。インターン選考が本選考を兼ねており、インターン参加後に最終面接1回で内定出しのケースも多い。
- インターン選考から内定出しまでの期間が比較的短い
メリット
- 選考ステップ・期間がコンパクトにまとまっているため、採用側には工数削減、学生側にとっても選考長期化によるストレス軽減につながる
- インターンを通して企業・仕事理解が深まり、ミスマッチを防ぐことができる
- インターンに参加した優秀層を確実に囲い込むことができる
- 学生はインターンで認められると最短ルートで内定が取れる
課題
- 選考直結インターンの募集人数は概して多くないため、ターゲット人材を取りこぼす/必ずしも参加しないリスク
- 学生はインターン不参加=選考不参加のため、日程が合わなかっただけで門前払いとなり機会損失
- インターン参加の母集団に偏り(学歴、男女比等)があった場合、 公平性を損なう可能性がある
- インターンでの評価への依存率が高く、見極めミスのリスク
- インターンの設計・運用が高負荷のため、内定辞退率が高い場合には非効率的な選考となる
2)早期選考+オープン選考併用型
事例:住友商事、三菱UFJ銀行、東京海上日動、博報堂、サントリーHDほか
特徴
- 最も多くの企業が導入。
- 就活積極層をインターンで取り込み、オープン選考で自社に興味のある学生を広く採用する。
- 多くの選考ルートの中から学生自身の就活ペースで選択できるため、多様な学生にリーチしやすい。
- 年内に内定を出す「超早期選考」は、現時点でインターン経由のみで見られる。
- オープン選考も内定時期により早期/後期に分類できる(早期:~3月末(4月末)、後期:それ以降)。
メリット
- 「優秀層の早期囲い込み × 幅広い層へのオープンアクセス」というハイブリッド設計で最も実効性が高い
- 多数のルート設計により離脱リスクを複数ルートで吸収
- インターン選考に落選してもオープン選考に応募可能など、複数の受験機会を設定し、志望層の取りこぼしを軽減できる
- 学生が自分のペースで複数の選考ルートから受験ルートを選択可能
課題
- 複雑なスケジュール管理に加え、学生への選考ルートの案内など説明コスト増など運用負荷が大きい
- 多様な選考ルートが存在し、内部での評価軸の整合性が取りづらい
- 早期内定を出した後に辞退されると、採用計画調整が難しい
- インターンとオープン選考の双方に参加する学生は、就活が長期に及び負担が大きい
3)オープン選考型
事例:三菱商事(3月選考・6月選考)
特徴
- 公平性を重視する選考。
- 書類選考の期間が長い。
- 内定時期により早期/後期に分類できる(早期:~3月末(4月末)内定、後期:それ以降内定)
メリット
- 早期×後期で学生プールを最大化、幅広い母集団にアプローチできる
- 後期で採用数を調整しやすく、内定出しの柔軟性が高い
- インターン未参加組や、体育会系などのスロースターターも選考に参加しやすい
- 選考の公平性・透明性が企業のイメージアップに奏功
課題
- 優秀人材が他社早期選考に流れるリスクあり
- 後期は競合が多く、内定辞退リスクが高い
- 後期は内定枠が少なく、競争率が高騰しやすい
- オープン早期と後期で受験学生の属性に大きな違いが出る可能性がある(例:早期は業界理解も志望動機も完成度の高い就活慣れした学生、後期は志望動機が粗いが地頭は良い学生)
- 学生はインターン参加組との差が見えづらく、不安を抱きやすい
【26卒選考 業界別の特徴】
<商社>
・選考時期は3月・6月が標準的。面接回数は平均3~4回
・3月選考に比べ、6月選考は選考期間が短く、面接から内定出しまで数日以内に完了するケースが散見される
- 三菱商事、伊藤忠商事は5日以内に1次・2次・最終面接・内定まで出し切る
・2月以前に内定を示唆するケースも定番化
- 住友商事は26卒から超早期インターンシップ経由選考を導入、年内に内定出し
- 伊藤忠商事は年内にインターンを設け1月に内定を示唆
<金融>
・職種別インターンシップ経由、リクルーター経由など、多数の選考ルートが存在し、選考時期も分散している
・リクルーター面談など位置づけが不明確な選考があり、これらがより重要視される傾向がある
- 農林中央金庫のオープン後期選考で26卒のリクルーター面談とフォローアップ面談の期間が伸長。学生とのミスマッチ減など離脱を防ぐフォロー強化が目的と思われる。
・概して選考期間は2~3か月と長くかかり、面接回数も4回以上のケースが多い
・IT・デジタル系コースの選考は他職種・コースより早く、超早期/早期内定の傾向
- 三井住友銀行のIT・デジタルコースは12月中旬に内定出し
<メーカー>
・早期選考(選考直結インターン)+オープン選考(早期/後期)のパターンが多い
・2~4月が内定出しの山である
・面接回数は3回程度のケースが多い
<サービス>
・選考開始・内定時期ともに企業によってばらつきがある
・コンサルタント・IT・SIer業界は年内内定が一般的。インターン、イベント、スカウトなど多様な選考ルートを展開し、併願先としても選ばれやすい
・デベロッパー業界は少数採用もあり、非常にコンパクトな選考プロセスが多い。半月以内に1次面接から内定出しまで完了するケースも散見される
・一部インフラ業界ではリクルーター面談を採用
- JR東海、関西電力等
・電通, 博報堂は、一部の選考直結インターンルートで年内内定出し。また、オープン選考では、選考プロセスにグループワークを組み込む。
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