6月のWeeklyReportでは「就活・採用活動とAI」を特集しました。
今月は「採用マーケティング」を取り上げます。シーズンの初動にあたり、過去1年の実務の振返り、またご異動されてきた方・新配属の方の基礎知識として利用いただければ幸いです。
採用活動は<マーケティング>そのものなのに、マーケティング視点での見直しや、現代的マーケティングの取り込みが弱い。長年携わってきての実感です。
これには「人事部門」という特性や、採用支援という「閉じた」業界の事情も影響しています。今月は、実際に行っている業務を<マーケティング>の視点で整理しなおします。その上で「一般的なマーケティング手法の取り込み」と、「採用活動に固有のマーケティング手法」を概観します。
【今号テーマ】
● 環境分析 (基礎データと情報源)
【次回以降のテーマ】
● ファネルとリード (母集団形成)
● 双方向スクリーニング (選考・フォロー)
● 採用ブランド (STPとファン・マーケティング)
(予定は変更の可能性があります)
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【第1回】 採用市場の環境分析 (基礎データと情報源)
採用活動をマーケティング視点でとらえる際、もっとも耳馴染みのよい枠組みは「3C分析」です。「顧客(=学生)」「自社」「競合」の3主体ですが、なぜか「土台としての採用市場」が解析対象となることは稀です。
また3主体についても、「ベンダー提供の汎用レポート」「前年度集計テンプレの穴埋め」「記憶にある範囲の辞退・競合先」などをもとに、断片的な把握にとどまる場合がほとんどです。
手段としてのマーケティングを過大視する必要はありませんし、多忙な業務で「それどころではない」のも事実。しかし「手を付けきれない」年度を重ねることで、自社の市場理解、学生理解、競合理解は少しずつ「浮世離れ」していきます。
この点、特にリーダー層の方には、赴任間もない時点、シーズン切替えタイミングなどに「自社の保有情報」の棚卸しをお奨めします。実務レベルでは見落としがちな俯瞰目線・素朴な疑問などが見直しのカギです。
【主な情報源】
矛盾することを申し上げますが、実は採用現場には「情報」があふれています。過剰といっても良いほど。問題は「各情報の使い分けが曖昧」だったり、「皮相な解釈や分析にとどまり、重要な知見に辿り着けない」点にあります。
後者を改善するための方法論は次回以降で取り上げます。今回は、主要な情報源の整理整頓を行います。
【ソースとデータの性格】
採用業務の中で触れる情報には、ざっくり分けると以下の4タイプがあります。
1) マクロ:採用市場全体を俯瞰する統計データなど
2) ミドル~ミクロ:ベンダー提供の総括資料・ホワイトペーパー。ATSの集計(エントリー後の歩留まり率など)
3) 定性・クチコミ(ベンダー経由):営業担当者などから得られる「業界に流布している情報」
4) 定性・クチコミ(学生経由):採用プロセスで接する「学生の肌感」など
【情報源マトリクス】
データの性格によって、主な情報源、現場での活用状況、懸念ポイントは異なります。こちらもざっくり整理してみます。
あらためて見返すと、私たちが接する<マーケテイング・データ>にはいくつか傾向が見えてきます。
一つ目は、マクロ・俯瞰的なデータの切れ味が悪いこと。採用実務との接続が悪く、「資料作成上のお題目」になりがちな点
二つ目には、現場との相性がよいデータは「再現度・客観性」が低く、バイアスや思い込みが混ざりやすい点
三つ目には、これらすべてが「個別バラバラ」「前年踏襲」的に使われることが多く、深掘りが甘い事。深い洞察(インサイト)の発掘に使い切れていない点
こうした現状に、一般的なマーケティングの目線を持ち込むことで、同じデータから<一歩深い知見>を汲みだすことができます。特に定性データの扱いについては、消費財マーケティングの世界を中心に方法論の強化が進んでいます。これらの点は特集の後半で再度取り上げます。
特集第1回として、採用環境の分析に使えるデータを見返しました。貴社の採用活動で弱い部分、深掘りが足りない部分はどこだったでしょうか。
次回の第2回では視点を日常業務に一気に近づけます。 「母集団形成」「歩留まり」「参加者フォロー」など、採用活動で広く使われる業界用語をとらえ直します。
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