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【25卒】トップ学生 内定後の企業選択状況


株式会社ピボット 代表取締役/ブランドコンサルタント 西山亜矢子

 

 

内定出しの前半ピークと想定される4月末~GWを越えました。

採用ベンダーのさまざまな調査で「内定出しが早まっている」という量的データは出ていますが、「学生の活動終了時期」については、全体を見通しにくいのが実状です。

 

STUDENTS’REPORTが定点観測している学生レビュアーも、併願企業のパターン、辞退タイミングともにバラツキが大きく、定量データだけではモノを言いにくいことを痛感します。

 

ご紹介する調査結果は、「採用市場の客観的傾向」ではなく、「最大手企業に内定を得た学生」を、by nameで事後的に収集したものです。データの背景を踏まえたうえで、今後の施策展開に活用いただければ幸いです。

 

※今後のエンゲージ施策、入社意思の最終確認時期など、個別の打ち手に関するご相談はメールでお問合せください。

support@pivot-inc.co.jp

 

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<調査概要>

内定先・入社意向のWebアンケート(4/16~4/30)

(有効回答43名・内定取得企業92社)

 

<内定先企業 (抜粋)>

三菱商事・三井物産・住友商事・伊藤忠商事

三井住友銀行・みずほフィナンシャルグループ・東京海上日動・日本生命

日本製鉄・三菱ケミカル・川崎重工・清水建設

トヨタ自動車・日立製作所・パナソニック・ソニー

森ビル・JR東日本・NTT東日本

アクセンチュア・野村総研・日本IBM

 

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<調査結果>

 

1)内定先への入社意向

 

入社意向が決まっていない学生が約半分

 

入社を決めた  19.6%

まだ迷っている  45.7%

入社するつもりはない  34.8%

 

入社を決めた学生はまだ2割にも届きません。

半数弱がまだ進路を決めかねています。

 

●意外な人気企業も入社を迷われている

 

<入社を迷っている企業(上位)>

三井住友銀行 (4名)

三井物産 (3名)

東京海上日動 (3名)

日本IBM (3名) など

 

※三井住友銀行、三井物産では「入社を決めた」学生はおらず、全員が「迷っている」と回答しました。

採用競争力の高い企業も安泰とは言えず、併願先へのチャレンジが続いていると見られます。

 

●大量採用業界では「入社するつもりはない」学生も増える

 

入社するつもりはない〕 (業界単位で集約)

コンサル・シンクタンク (8名)

金融 (8名)

IT (4名)

 

いずれも業界全体としての採用人数が多く、滑り止め的な受験をされやすい業界でもあるためだと思われます。

 

 

2)入社判断の背景

 

●入社する理由は「総合的に決まる」

 

「待遇と働きやすさ」が理由のトップ(18名中9名)ですが、「社風・人(同9名)」「事業・仕事(同7名)」「配属(同5名)」と、入社を決める理由は分散しています。

 

生声を読み込むと、単一の理由を上げる学生は少なく、「社風、待遇面、仕事内容が自身の求めるものに近かった」「自分が携わりたい事業に対しての確約をもらえた。勤務地や福利厚生、給与も充実している」等、総合的に判断を下しています。

 

●迷っている理由は「他社の状況・比較」

 

「他社が選考中(42名中19名)」でトップ、次いで「他社と比較中(同15名)」となり、他の理由を圧倒しています。

 

「早期化の影響で頭が整理できていない」「就職活動をすぐに終了できる程まだ意思決定ができていない」といった生声からは、決定の軸や決め手となる情報自体を入手できていない様子がうかがえます。

 

「全てが終わったあとに吟味したい」「他の企業の選考も受けきって、納得した状態で判断を行いたい」「同業他社との比較をしたい」など、材料を揃えて相対的に判断したいというスタンスも滲みます。

 

「念のため」「想定外の可能性」「慎重」「じっくり」「熟考」といった、極めて堅実な態度を伺わせるワードも目立ち、これが今の学生の『決め方』なのかもしれません。

 

●入社しない理由は「そもそも志望でないor解像度が高まった結果」

 

「他業種・他社が第1志望」が理由のトップ(34名中15名)。次いで「配属(同9名)」「事業・仕事(同9名)」、「待遇と働きやすさ(同7名)」です。

 

「パートナーの権限が強い風土ゆえに、異動の流動性が低い」「激しい競争文化や濃い実力主義の風土が合わない」「ウェットで飲み会の多い営業ならではの人間関係が自分の肌に合わない」「福利厚生が2年目以降悪くなる」など、入社後の解像度が上がった結果、辞退を決めるに至っている様子も見られます。

 

配属をネガティブに語る言葉として「へき地」というワードが使われており、転勤の忌避に繋がるイメージ像も浮かびました。

 

 

3)まとめ

今回の調査結果から、「学生はまだ迷っている」ことを前提に、学生の意思決定スタンスに寄り添った対応をする、すなわち「検討材料を潤沢に提供した上で/頭の整理を手伝いながら/納得感を持てる総合的な判断へと導く」のが成功の定石と言えそうです。

 


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