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【25卒】内定承諾の切り札は「配属や待遇」―募集コース設計を工夫するコツ


25卒、内定者確保戦略は「時期」よりも「配属や待遇」が効く時代へ

株式会社ピボット 代表取締役/ブランドコンサルタント 西山亜矢子

 

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▼4月時点では予想通りの進捗

 

23年11月1日号にて、SR編集部では25卒の選考期を次のように予測していました。

 

・25卒も、内定出しの山が分散する傾向が続く

・時期としては、3月下旬~4月中旬の内定出しがさらに増加

・一つの企業の中で複数の内定出しの山(日程)を持つケースも増加

・複数の山の持ち方は、以下の2パターン

(1)4月中下旬を主たる内定期とした上で、イレギュラーな内定期(超早期・少数)を持つ

(2)2~3月内定と5~6月内定の2期に分散した内定出しを行う(主力の内定期を2つ持つ)

 

<参考:24卒の内定出し時期※>

2月   4.3%↓

3月  20.2%↑

4月  33.0%↑

5月  22.3%↓

6月  20.2%↓

※弊社総括レポート「CASE&TREND トレンドリーダーの採用 2024卒版」掲載企業を集計。N=94

 

時期の分散は、おおよそ予想通りに進展しています。

 

内定時期は「前年比プラスマイナス2週間前後に着地」としていましたが、今のところ早期化となりそうな動きです。

 

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▼「強い企業群が/明示的に」選考を早期化させる

 

内定期の山の分散は、「競争力が中位の企業群で/暗黙的に(水面下で)」起こると想定していましたが、実際には「競争力が最も強い企業群が/明示的に」早期選考を設定しました。

 

具体的には、

・五大商社は伊藤忠商事を除く4社が~3月期の選考コースを設定

・三井不動産と三菱地所も4月選考コースを設定

・電通が総合職・冬選考を設定

するなどの動きがありました。

 

「大本命」企業群が早期選考コースを設定したことにより、内定をホールドしたまま6月選考に挑む学生は減少すると見込まれます。

 

25卒では「4月頃が内定承諾を巡る綱引きのピーク」となりそうです。

 

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▼「時期」でなく「配属や待遇」が内定承諾交渉の切り札に

 

競合企業よりも有利に内定者の確保(内定承諾交渉)を進める上で、これまでは「時期の選択」が成否に大きく影響する要素でした。

 

しかし、いくら早めに内定を出そうとも、強引に承諾を迫れば今はハラスメントとみなされます。

内定者が納得感を持ってスムーズに自己決定(内定承諾)してくれるのが理想です。

そのためには入口の条件(配属や待遇など)が早い段階で明確になっていた方が、企業と学生のニーズをすり合わせやすいでしょう。

 

26卒以降の採用戦略では、「本選考の募集コース、ひいてはそれに接続するインターン等をどのように設計するか」が採用計画の核となりそうです。

 

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▼配属を反映した「募集コースの設計」取組みのコツ

 

(0)一般的な構造

 

大きな枠組みを「オープンコース」と「限定コース」とした上で、「限定」の切り口を決めます。

「限定」の切り口は、たいてい「職種」「部門」「事業領域」「配属エリア・配属地」のいずれかになります(組合せの場合もあります)。

 

また、多くは「初任配属」の確約で、入社後の職種や領域を中長期に限定するものではありません。

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(1)初めて「限定コース」を設定する場合

 

学生にとって魅力があり(学生の希望に寄り添っており)、かつ自社の人材ニーズと矛盾しないコース設定になっている必要があります。

 

① 今どきの学生の就活意識・世代感覚の理解(タイパ、JTC、偏差値・お受験就活、ホワイト志向など)

② 事業戦略上、優先的に確保が必要な領域→人材の特定

を明確にし、①と②をすり合わせて、「限定コース」に落とし込んでいきます。

 

何を(どの領域を)「限定コース」として表現し、何を「オープンコース」扱いにするのかという検討と社内合意も重要です。

 

聞き取り調査では、最も細密に募集コース設定をしている例として「みずほフィナンシャルグループ」「日立製作所」をあげる学生が多いです。

細密化した場合の事例として、ご覧になってみてください。

 

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(2)既に募集コースを設定している場合

 

学生の希望に寄り添うほどに、コース設計(とその選択画面)が複雑になっていきます。

 

その結果、「選択の複雑さ」「検索のしづらさ」によって、学生が希望にフィットしたコースに辿り着けなくなるという、本末転倒な状況が発生します。

 

募集コースが一定完成した後は、「選びやすさ/見やすさ/探しやすさ」の観点から、新卒採用サイトの募集要項とマイページを改訂し続けてください。

コース情報だけでも複雑なので、サイト上のギミック(アニメーションなど)は極力外し、デザイン上の装飾はなるべくシンプルにした方が良いでしょう。

 

また、当の学生自体が「自分の求める条件を大まかにしか絞り込めない」ことも多いため、

①選択肢を適切な「粗さ」で作る

②選択構造/選択一覧(全体像)を分かりやすく提示する

③選択をすり合わせる機会を設ける(マッチング面談等)

といった工夫が合わせて必要になります。

 

 


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