【2月の採用市場ウォッチポイント】


学生を外資選好へ向かわせる「JTC」という概念

株式会社ピボット 代表取締役/ブランドコンサルタント ⻄山亜矢子


2月には外銀の内定が出揃い、外資企業に内定している学生の多くは、3月末頃までに「内定承諾か辞退か」決定を迫られます。その意思決定に大きな影響を及ぼし、学生を日系の受験断念へと傾かせているのが、近年急速に広まった『JTC(JapaneseTraditionalCompany)』という概念です。

 

早期接触者へのフォローやリクルーターが活性化するこの時期、コミュニケーションの阻害要因となる『JTC』とその対処法を解説します。

 

※JTCを嫌う学生マインドと自社への含意を、各社様ごとの状況に応じて解説・ご助言しています。

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 ▼学生は『JTC』をどのような意味で使うのか

 

JTCという用語は、伝統的な日系大企業、特にそのネガティブな部分を指摘する時に使われます。

 

トップ学生が就活の際にJTCに抱く代表的なイメージは次のようなものです。

・年功序列で、若手に権限・裁量権がない

・新卒一括採用で、入社後の専門・配属が約束されない

・人事部主導のジョブローテーションで、自分の意思と関係なくキャリアパスが決まる

 

概して、JTCは「若いうちは自分の望むキャリアをデザインできない場所」と捉えられていると言えます。

 


 ▼『JTC』を嫌う学生の「焦り」を知ろう

 

トップ学生がJTCを嫌う心理的背景には、「焦り」があります。

今の就活生は、「今後の社会は不安定で不確実」「スキルを身につけないと将来が危ない」と言われ続ける中で育った世代です。

 

その結果、総じて「頼れるのは自分だけ、自分のスキルに自分で責任を持ち、市場価値を高めておかなければ」という焦燥感にかられています。

 

そのためには外資系企業でハードワークを通じて早く成⻑したい、「ぬるい」と言われるJTCでは自分の能力が錆び付いてしまうのではないか...

上位校で能力に自信を持っている学生であれば、せっかく積み上げてきた自分の価値が減損することにも強い怖れ、焦りを感じています。

 

このような焦りが、若手のうちから裁量権を握りたい、ジョブローテーションの後でなく、今すぐ専門を決めたい、という気持ちに繋がっています。

 


▼『JTC』の呪縛を解くコミュニケーションとは

 

彼らの焦りを受け止め、彼らの自己成⻑への思いに寄り添うことが最優先となります。

 

まずは「彼らがどのようなスキルを欲し、何を達成したいと思っているか」を聞き出し、その上で「彼らの求めるものが自社にも存在する、鍛えられる」ことを根気強く伝えていく必要があります。

 

彼らの焦り・思いを聞く前に、「大丈夫、ジョブローテーションもいいものだよ」と断定するのはご法度です。

経験に基づく心からの言葉であっても、「自分にはそんな時間はない」「結果論じゃないか」という学生の反発を呼んでしまいます。

 

「君の求めるスキルが身に付く/キャリアが拓ける/成⻑できる」理由に紐づける形で、現行の人事・育成の制度や具体的事例を伝えてあげてください。

学生一人ひとりの意向に合わせての説明は骨が折れますが、説得にはこれが一番の近道です。

 

なお25卒以降の採用コミュニケーションに向けては、学生の忌避や見切りが生じる「前に」自社(業界)への引き込みと関心維持が重要です。
小手先のPRでは対処が難しい部分ですが、それだけに、シーズン開始前に準備しはじめる必要があるでしょう。

 


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