株式会社ピボット シニアコンサルタント 豊崎 康弘
STUDENTS’ REPORTでは、2003年以降、20年強にわたる「選考日程」の実データを蓄積しています。
26卒採用の実績データは、『トレンドリーダー56社の選考』として郵送でお届けしました(8月中旬)
PDFデータ:https://www.pivot-inc.co.jp/250801-1/
今回は、上記の資料に弊社内の非公表データを加味し、25卒→26卒で起きた「内定時期の変化」を振り返り、27卒を予測します。
*本レポートに基づく選考日程の予測・解説セミナーを実施しています。
特に、入口となる「エントリー締切」の設計についてもご相談を受けています。
企業様ごとのご事情を踏まえてご用意しますので、ぜひご活用ください。
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〔ポイント〕
●【26卒】 2月以前の内定出しが全体の25%。4月の内定出しが大幅減(-15ポイント)
●【26卒】 3月内定は37%と大きく変わらず。4月内定の企業が移ってきた形か
●【27卒】 3月以前の内定出しが3割を超える見込み。年内早期内定への参入も進む
●【27卒】 4月上旬までの内定が大多数を占める。その後は「特定ターゲットの上積み・補強」「後期採用」の色合いが増す
〔集計対象〕
各業界の最大手企業群 約60社
【25卒】53社97コース / 【26卒】63社100コース
※公式のコース設定に囚われず、「インターン優遇枠」などの独自ルートについても1コースと扱っています。
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▼内定出し時期の推移(月別)
25卒→26卒の変化を月別に集計した結果です。
26卒では1月・2月に内定出しを行った企業(コース)が増え、全体の25%を占有。一方、4月内定の大きな落ち込みが目立ちます(-15ポイント)。
26卒も、内定出しのピークは3月でした。比率もあまり変わっていません。
早期化がさらに進む一方、5月、6月の内定にも一定の企業(コース)が残っている点も留意されます。

▼内定出し時期の推移(詳細:上・中・下旬単位)
3月下旬にヤマが来ることは変わっていませんが、全体的に3月以前に内定時期がばらけている様子がうかがえます。
特に、「1月上旬まで」の内定が5ポイント、「3月上旬」の内定が4ポイント増加しました。選考にかかる日数を考えると、12月中に選考を開始した企業、3月を待たず、2月の本選考に踏み込んだ企業だと考えられます。
また2月の内定出しを具体的な企業(コース)まで確認すると、「インターンシップ経由のコース」と、「インターンシップなし(通常のES締切から)のコース」が混在していました。
実施時期は同じでも、内実としては<早期優遇選考を2月中に終わらせる企業>と、<3月以降のオープン採用を2月に早めた企業>が、同時に選考を進めているようです。

▼27卒の内定時期・パターンの見通し
25卒→26卒でかなり早期化が進みましたが、27卒採用においても早期化の流れは続きそうです。
(12月~3月)
特に「2月上旬~3月上旬」まではかなり内定が増加する見通しです。また、年内内定の枠として、12月中の内定出しも加速するでしょう。
「2月上旬~3月上旬」については、従来3月スタートだった<オープン採用>の前倒しがさらに進みそうです。大多数の企業が導入し、<選考日程の標準装備>になる可能性もあるでしょう。
ただし、早期化を進めすぎても<インター経由の早期枠>との違いが付けにくくなります。また3月開始以降の応募枠(内定枠)をどこまで用意するか、配分にも悩むことになりそうです。
今後の選考プロセスにおいて<2月をどう位置付けるか>は、企業ごと・コースごとに最適解の異なる重点テーマだと言えます。
(4月~6月)
3月までの早期化により、「4月~6月」の内定出しはさらに減少しそうです。ただし、「インターン不参加の体育会学生」「商社3月選考の落選者」など、特定の学生ターゲットが活動を行う時期でもあります。27卒シーズンも、選考枠はある程度維持されると予測されます。
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▼受験層(ターゲット)別の「クロージング日程×口説きの切り口」
選考日程の変化予測を踏まえ、ターゲット学生別に今後の動きと対応策を考えてみます。
・本命(競合企業)の内定時期
・離脱・辞退の起きやすい時期(選考途中から内定後まで)
・自社への切り返し・口説き落としに有効な切り口 など
※一般論・総論的な指摘です。最適解は企業ごと、人材像ごとに大きく異なります。
企業様ごとの処方箋・ご助言も提供していますのでお問合せください。
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(1)【IT・デジタル人材】IT・デジタル企業/コースを受験
【離脱に注意すべき時期】
1月中旬~
【望ましい内定~クロージング時期】
2月中旬頃までには内定出し、3月末を目途にクロージング
【離脱/クロージング前後の争点】
配属(職種・勤務地)や働き方の条件面
【その後のフォロー】
競合が通年採用をしているケースも多いため、夏ごろまで油断せずにフォローアップ
(2)【財経の専門人材】外銀、日系証券専門職、事業会社財務コースを受験
【離脱注意~望ましいクロージング時期】
外銀志望が高ければ1月下旬の離脱に注意。
次に、2月下旬の離脱に注意。このタイミングには、一度クロージングを試みる
【離脱/クロージング前後の争点】
勤務地と給与、ポータブルスキルの早期獲得(人材市場価値)
【その後のフォロー】
商社の通常選考(3月前後)の離脱を防ぐためのフォローアップを行う
(3)【日系金融夏インターン】【商社の冬インターン※】に参加中
※三井物産よりも早い時期のものを指す
【望ましいフォロー時期】
12月中旬には、一度しっかりしたフォローアップ(受験状況・志望度の確認と軽いクロージング)
【離脱注意~望ましいクロージング時期】
1月から厳重注意。2月までには、様子を見ながらクロージングを行う
【離脱/クロージング前後の争点】
就活の軸が固まり切っていない状態で意思決定をするケースが少なくないため、本人の資質に合わせたメンタリング・キャリアの提示によって巻き返せることがある
(4)有力メーカーを受験している学生
【離脱に注意すべき時期】
内定出しが集中する3月~4月。
ただし、職種別コース受験者/夏インターン参加者/ごく少人数採用のtoBメーカー受験者などは、内定出しが早い(1~2月)ことがある。受験ルートの詳細を把握しておくこと
【離脱/クロージング前後の争点】
勤務地や給与がクロージングの争点になりやすいので、明確な説明を準備しておくこと。
メーカー同士で受験者を取り合う場合は「商材の理解度の差」で勝負が決まることも
(5)【商社の通常(3月)選考】を受験
【離脱注意~望ましいクロージング時期】
3月上旬から離脱に厳重注意。商社の受験を終了次第、機動的にクロージング。
「受験を続けたい」意向が強い場合が多い。早め(年内~1月)にクロージングを試みることが難しければ、商社の受験終了まで対応は「待ち」になる
【離脱/クロージング前後の争点】
「働き方イメージの具体化」で対抗
(6)【商社の6月選考】を受験
【離脱注意~望ましいクロージング時期】
5月下旬からは離脱に厳重注意。商社の受験終了までは、あまり離脱が起こらない。
商社の受験を終了次第、機動的にクロージング。
【クロージング前の注意点】
商社以外の企業理解・志望度が極めて低いことが少なくないため、本格的なクロージング期の前に、本人の状態に合わせた教育・メンタリングが必要
【離脱/クロージング前後の争点】
「働き方イメージの具体化」で対抗
【本資料に関するお問合せ】STUDENTSʼREPORT編集部support@pivot-inc.co.jp|050-3649-7671
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