10月以降のインターンシップ情報が出そろってきました。
今週から2週にわたり、日系主要各社の開催情報と、昨年からの変更点などをご紹介します。今号では商社・金融業界を扱います。
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<商社の傾向>
▼部署別受入れなど本選考と接続強化の動き
〔伊藤忠商事〕
・12・1・2月に5days×3タームのインターンシップを開催予定(選考フロー等の詳細未公開)。時期・日数は昨年同様だが、今年は部署別受入れ型を予定しており、「リアルに進行中の案件実務を体験」と案内(マイナビ)。
▼三菱商事は独自路線。夏の2daysワークショップ廃止、座談会中心の設計に
〔三菱商事〕
・キャリア教育プログラム「MC Academia」の年間予定を公開。「Summer Workshop」(2days、対面)を廃止し、「MC Bridge Session」(オンライン少人数座談会、8~12月)を新設。そのほか継続施策の「MC Meet-up Session」(対面座談会、12月~、全国6か所)、テーマ別ライブ配信、社員訪問など複数施策を用意している。一般的なワーク/就業体験コンテンツを設けず、少人数対話を重視したプログラムになっている。
▼AI面接の導入
〔丸紅〕
・昨年は11月開催だった「Marubeni Career College」(3days)を、今年は夏・秋・冬の3ターム開催に変更。
・選考には5大商社では初のAIによるケース面接を導入。AI面接で出題される事業分野と、インターンシップで挑戦する課題の事業分野が連動しており、事前に理解を深めることが意図されている。
◇解説◇
・インターンシップを本選考に組み込んだ三井物産を筆頭に、インターンシップと本選考の連携を強める動きが強まっています。
職場受入れ型インターンシップは、主要商社では住友商事が26卒から導入。一部参加者には、受入れ部門との面談を経て年内に実質内定が出ています(27卒は11月から9月開催に前倒し)。伊藤忠商事も、部署別受入れ型インターンシップの導入により、早期に配属確約・実質内定出しを行うのか注目されます。
・一方、三菱商事は社員との対話機会を増やし、ビジネス理解やキャリア形成支援に徹する姿勢をとっています。全国6か所での座談会など、地方開催を強化している点も特徴的です。これは学生に公平性や誠実さを印象付け、ホワイト企業のイメージを後押しする可能性も考えられます。
・丸紅は26卒でもワークショップ選考落ち学生向けに「自分の思考を見つけるAI面談&AI面談で紐解くキャリア設計セミナー」を提供しており、引き続きAIの積極活用を図っていくのではないかと見られます。
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<金融の傾向>
▼デジタル系コースが引き続き増加。AI活用がテーマのプログラムが目立つ
〔野村證券〕
・「【コンテンツ・カンパニー(リサーチ)】LLM・自然言語処理 5daysワークショップ」(9月、5days)新設。大規模言語モデル(LLM)を活用した研究開発に取り組む最前線の社員が指導役となり、金融ビジネスを対象とした分析・ツール作成に取り組むプログラム。
「【デジタル・カンパニー】2daysワークショップ」(11月、2days)も、AIをビジネスに応用しながら課題解決を目指すプログラムになっている。いずれも必須スキルなどの条件なし。
〔三菱UFJ銀行〕
・「金融システムInternship」(夏8~10月)、「金融×IT Internship」(冬11~1月)を新設(5days)。「業務体験プログラム」(2~3days)+「企業研究プログラム」(2~3days)の構成。
夏季回では「ITについての学習経験がある、もしくはテクノロジーを活かした新たな金融ビジネスモデルの創造などに興味関心のある方など」を対象としていたが、冬季回では「IT学習経験」への言及はなく、逆に「現時点でのITスキルは必須ではありません」という注記が入っている。
・グループ6社共催のオンラインイベント「MUFG Data Science Basic Camp/Champion Ship」(8~9月)を開催。初中級者向け/上級者向けの2種類のコンペを設け、初中級者には学習コンテンツを無料提供。上位入賞者には特典がある。
〔みずほフィナンシャルグループ〕
・「Experience ITストラテジスト」(8・9・11月、1day)を新設。
銀行システム企画ワークショップ(Web)と銘打ち、企画立案ワークを通じ、IT・システム部門の業務領域と醍醐味を理解するプログラム。スキル要件なし。
・「Experience R&Dスペシャリスト」(8月・3days、9~10月・1day)では、3daysを新設。先端技術・科学技術・AI分野で活用する技術解説を聞いた上で、グループワークでそれを活用したサービス検討などを行う。スキル要件なし。
▼アクチュアリー、ウェルスマネジメントといった専門コースも増加
〔みずほフィナンシャルグループ〕
・「The Wealth Management Banker」(11~12月、2days)、「Experienceウェルスマネジメント編」(12月、1day)新設。
〔三菱UFJ信託銀行〕
・「<選考直結型>5daysアクチュアリーインターンシップ」(9・11・1月、5days)新設(昨年の2daysを強化)。「選考直結型」を明記しており、参加にはES提出、履修履歴のみ必要。応募者多数の場合はESにて選考予定。参加後のフロー詳細は不明。
〔三井住友信託銀行〕
・アクチュアリーコースの秋季回(10・11月、1day)を新設。夏・秋の2ターム設計に。ES・Webテストのみの選考、かつ「事前課題なし。ワーク内容も当日発表」と記載し、参加ハードルを下げる工夫がみられる。
〔三井住友海上〕
・「専門人財向け アクチュアリーインターンシップ(冬)」(2月、5days)新設。夏・冬の2ターム設計に。募集条件の専攻イメージとして「確率統計、金融工学、数理科学、数値解析、その他理工学系分野」を明記。
▼AI面接の導入は横ばい
〔農林中央金庫〕
・「夏インターンシップ(本選考接続型)」(8~9月、)、「2DAYS BASIC PROGRAM」(11月)は昨年同様、選考時にAI面接→人事面談と2回の面接を実施
▼一部企業は本選考での具体的な優遇内容を明記
・早期日程:農林中央金庫、三井住友海上、日本生命、三井住友カード など
・選考回数免除:農林中央金庫、日本生命 など
◇解説◇
・デジタル系やアクチュアリーなどの専門コースが引き続き増加傾向です。1day/3days…など複数コースを準備し、初心者から上級者まで幅広く募集をかけている状況です。
アクチュアリーなどは従来、金融工学専攻などのごく一部の学生が受験するイメージでしたが、現在は「学部学科不問」のケースも珍しくありません。
また、デジタル系のプログラムでは、AIを活用した課題解決などをテーマにするものが増えてきました。普段からAIを使い慣れている学生も多いため、IT系の学生でなくても参加しやすいテーマかもしれません。
・選考直結型インターンシップの導入は横ばいです。インターンシップから本選考への接続について、プレエントリー時点でインターン後のフローや本選考での優遇内容が公開されているケースはごく限定的です。
そのなかで三井住友海上は自社HPで早期面談会につながるルートとスケジュールを公開。セカンドインターンも図示しており、オープンで公平な印象を受けます。
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