佳境を迎えている夏インターンシップ。
大手ナビサイトの27卒学生モニター調査によると、7月時点でオープン・カンパニーや仕事体験、インターンシップなど「何らかのキャリア形成活動」への参加率は6割超、「夏季休暇中にインターンシップ・仕事体験に参加希望」の学生は96.4%にのぼっています。
※出典:2027年卒大学生キャリア意向調査7月<インターンシップ・キャリア形成活動>(マイナビ)
https://career-research.mynavi.jp/reserch/20250820_99832/
夏のインターンシップ参加が一般化する中、学生が描く理想的な就活とは。
今回は、学生アンケート結果を基に、27卒トップ学生による「就活ジャーニー」への本音を分析します。
インターンシップの選定基準から、本選考への接続、そして企業イメージを左右する要因まで、採用施策のヒントをお届けします。ぜひご活用ください。
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1)27卒学生が描く理想の就活ジャーニーとゴール設定
「年内には内定を一つ保持し、精神的な余裕を持って本命に挑みたい」
アンケート結果から見えてきた標準的なスケジュールは、「年内に少なくとも1社の内定を獲得し、4年生の春から夏にかけて第一志望群の選考に集中、承諾を完了させる」というものです。
(学生の声)ゴール設定
「年内に第一志望群から内定を獲得したい」
「年内に1社内定を保持し、4年生の6月までに第一志望群の内定承諾を完了させたい」
「まず年内にコンサルやメガベンチャーから内定を得て、それを”お守り”として本命の商社選考に備えたい」
年内に一つ内定を確保することで、「持ち駒ゼロ」の焦りをなくし、落ち着いて本命企業の選考に臨みたいという戦略的な意図が明確に見てとれます。この「年内内定」という学生側のマイルストーンも意識しつつ、選考スケジュールを設計することが企業側に求められます。
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2)夏インターン選定基準:選考優遇に加え"就活力"向上が鍵
27卒学生が夏インターンを選ぶ際の基準は極めて戦略的です。最も重視されているのは「参加後の選考優遇の度合い」ですが、それに加え、第二志望以降のインターンは「第一志望の企業に入るためにどう役立つか」もポイントです。ケース対策・業界理解・早期内定など、自分の"就活力"向上につながるかどうか、を判断基準にするケースも少なくありません。
(学生の声)日系大手企業志望学生たちの夏インターン選定基準
・本命のための“練習台”として
「第一志望は商社なので、夏の活動はすべてそこから逆算して決めました。一部の商社で必要になるケース面接やジョブ選考の練習のため、コンサルのインターンに参加しました。また、志望業界の理解を深める目的で、関連メーカー(鉄鋼など)のインターンにも申し込みました」
・精神的な“お守り”として
「選考時期が早いメガベンチャーを先に受けて、早い段階で内定を一つ持っておくことも意識していました。安心材料があれば、本命の選考に集中できますし、選考を受ける企業を絞ることができるので」
・最優先事項は“選考直結”
「でも、これらすべてに共通する一番の基準は、やっぱり『参加後の選考優遇がどれだけあるか』ですね。早期選考に繋がるかどうか、これは(選定の)絶対条件です」
このように、トップ学生はゴール=第一志望内定獲得から逆算し、明確な目的意識のもと、インターンを選んでいます。サイトやメールでの案内の際には、「なぜあなたがわが社のインターンに参加したほうがよいのか」「参加によって得られる成果(メリット/ご利益)は何か」を、「参加後の早期選考パス」を含め、明確に示す必要があります。
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3)インターンから本選考へ:学生が求める“つながり”は「明確な選考上のメリット」
インターン後のフォローについて、学生が最も期待しているのは、本選考に直結する具体的な優遇措置です。曖昧な関係づくりよりも、本音ベースでは「早期選考ルートへの案内」「書類選考・一次面接免除」といった、選考プロセスを短縮できる明確なメリットが求められています。
特に面接や小論文など、選考が重いインターンほどこの傾向は強まり、準備の負荷と参加後のメリットを常に天秤にかける様子が見られます。この背景には、「時間や労力をかけて参加するのだから、相応の見返りが欲しい」という、タイパ・コスパ意識の高さが見え隠れしています。
(学生の声)インターン参加に期待するメリット
「インターンに参加したからには、やっぱり『早期選考』に案内してほしいです。参加者限定の『早期選考パス』があると一番嬉しいですね」
「具体的な優遇措置が欲しいです。例えば、書類選考や一次面接を免除してくれると、インターンに参加した価値を感じます」
「サマーインターンを選ぶ基準は、正直『参加後の選考優遇がどれだけあるか』で決めています。他のインターンを辞退したり、時間も労力もかけて参加するわけですから、その後の選考で何もメリットがなかったりすると、『あの会社に時間を使うんじゃなかった』と感じます。
インターンシップは単なる仕事体験・社風マッチ等だけではなく、本選考へ続く明確なステップとして学生に認識されていることが分かります。その期待を裏切られた場合にはむしろ、優遇がより手厚い他社と比較して志望度が低下する要因にもなりうることに注意が必要です。
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4)志望度を左右する要因:心を掴む”人”の魅力と誠実な姿勢
ロジックを超えた「この人たちと働きたい」という感情が決め手に
選考優遇を期待する一方、インターンに参加した学生の志望度を最終的に大きく向上させるのは、現場社員とのコミュニケーションを通じて感じられる「企業のカルチャー」や「人の魅力」という傾向も見えます。
(学生の声)学生の志望度が上がった要因
・参加者への配慮と共感
「ディスカッションで返答に窮した学生に対し、メーカーの社員が単に助け舟を出すだけでなく、共感の姿勢を示したことで「優しい環境で働きたい」と感じた」
・一人ひとりに向き合う誠実なFB
「成果物だけでなく、個々の思考の癖や人柄までを深く理解しようとする丁寧な個人フィードバックを受け、「コンサルには珍しいほど人柄を重視してくれる」と好感を持った」
・社員の熱意と誠実さ
「座談会で、社員たちが社会課題に対して真摯で熱い想いを語る姿に触れ、「政府系金融機関」らしい堅実さや誠実さを実感し、志望度が上がった」
これらの体験は、「選考に有利だから」というロジカルな理由を超え、「この会社で、この人たちと一緒に働きたい」という強い動機付けを生み出しています。緻密なプログラム設計に加え、学生一人ひとりに向き合う社員の真摯な姿勢が、企業の魅力を最も効果的に伝える鍵と言えます。
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