<トレンド分析>
◆ブランドポジション(人気・併願動向)◆
*早期(夏)から後期(冬)まで幅広い入口を準備して多様な学生と出会い、質量ともに充実したフォローによって選考まで導くことに成功している。
*「専門コースとオープンコースのどちらにも十分な枠がある」「納得できるブランドイメージ・給与水準の高さがあるが、受験難易度は高すぎない」など、応募・入社先としての<バランスの良さ>が支持されている。
*近年、「金融業界はコンサル的な仕事/専門性の身につく仕事」との認知を獲得。もともとそのイメージの強い政府系金融に加え、メガバンクのイメージ転換が進む。「顧客との関係性が深い」「戦略だけでなく現実的なソリューションも提供できる」という切り口で、コンサルとのイメージ上の差別化も実現。
*生損保・証券も含め、職種別採用コースは外銀やコンサルとも併願されやすい。オープンコースは多様な業界と併願される。
*オープンコースの志望層では<クライアント・業務・キャリアの幅広さ>を好感している。これらは多様な業界と併願される理由にもなっている。
*金融志望者における東京海上日動のインターンシップ人気、優良企業ブランドは健在だが、他業界への人気の拡がりが弱まる。
*カード業界は上位校学生の間でもじわじわと人気が上昇。 「(事業そのものの)デジタルイメージ」「(相対的に)ホワイト/地方勤務が少ない」等による。
*政府系金融と商社は引き続き併願されているが、最終段階までの競合は鈍化(実質的な棲み分けへ)。
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◆プロセス・手法◆
▼コース設計
*銀行・証券から導入が進んだコース別採用が金融全般に拡大。
25卒では東京海上日動も本格的なコース別採用を導入、26卒では三井住友海上が配属地確約コースを新設。
*コースは、基本的には「職種・職掌」×「勤務地の幅(転勤有無など)」を選択。
*職種・職掌の選択は、「社内に存在する主要な職種が選択肢になっている」ケースと、「高度な専門性が求められる職種のみが選択肢になっている」ケースがある。
*システム・デジタル関連コースの整備に加え、ここ数年「グローバルビジネス」「ビジネスリーダー層」向けのファストトラックの追加がみられる。
*多様な選択が可能になった反面、コース体系が複雑になっている。その結果、無難で分かりやすいオープンコースに流れる学生も少なくない。
(学生の志向に合わせて体系を整えてきたにもかかわらず、ある種の「揺り戻し」が生じている)
▼インターンシップと選考優遇
*インターンが「メインの選考の入口」となっている。
「オープンカンパニー(1day)を起点に(プレ選考としての)リクルーターへ」
「インターンから(リクルーター段階を経ず)直接本選考へ」の二つが代表的な導線。
(ただしインターン以外の多様な入口もキープされている)
*職種・職掌を限定する夏インターンは、外銀・コンサルを併願する学生向けの接点(かつ選考の入口)として有効に機能している。
*リクルーター的な施策は、「プレ選考(選考の前捌き)」としての位置づけから学生の離脱を防ぐ「フォロー施策」の色を強めている。
「(初期の接触内容に関わらず)年末年始前後からのリクルーター面談を本選考の入口」としてきた従来の選考スタイルが転換しつつある。
*インターン参加を経た場合とそうでない場合の「OBOG訪問機会の格差」が生まれている模様。
▼選考・内定出し
*農林中央金庫はルール型AI面接を、三井住友銀行は動画AI選考を導入している。
*内定者の囲い込み・入社の意思確認の手法は、学生の意思を尊重したストレスが少ないものへシフト。
三井住友銀行は、定期的に送られる意思確認アンケート(アプリ的な仕様)の「承諾予定/悩み中/辞退」のボタンを押すだけで、意思表明ができ、学生に好評。
辞退者を深追いせず、「タレントコミュニティ(中途転職を念頭においた人材プール)」を案内しているケースもある。
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◆スケジュール◆
*前提として、選考につながる主要な入口は「夏インターン」「秋冬インターン」「リクルーター」。
*時期は、早期化というよりは<分散>。
(入口を問わず)内定の山は3~4月。
夏インターン経由では、年内~1月などの突出した早期内定も見られる。
一方で、(さまざまなチャネルからの集客をまとめ)リクルーターからスタートする選考では、5月以降のものもある。
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