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発注前に見直す!「採用サイト」の期待効果


 

新卒採用において「採用サイト」は広報の定番ツールですが、その効果を最大限に発揮できている企業は多くありません。27卒採用に向けたサイト制作を発注する前に、「採用サイトに何を期待すべきなのか?」を整理しておきましょう。

 

<1> 採用サイトに対する「誤った期待」

 

多くの採用担当者は、以下のような期待を持っています。

 

・サイトを見に来る目的・状態:「特に自社を志望していない学生が偶然訪問する」

・サイトの見られ方:「多様なコンテンツが自由に閲覧される」

・サイトの効果:「不特定多数の学生に対し、自社イメージを底上げする」

 

このような前提に立つと、「十分な情報を掲載しておけば、ブランドイメージの向上につながる」と考えがちです。しかし、実際にはそれほど単純ではありません。

 

 

 

<2> 採用サイトの「現実的な姿」

 

(1) サイトを見に来る目的・状態

 

実際には、以下の2つのパターンが大半です。

・インターンシップや選考への参加を考えている(ある程度の関心を持っている)

・何らかの告知によって誘導された(興味・関心が喚起された)

 

どちらのケースも、学生がサイトを訪問するのは「何らかの具体的な目的」があるからです。

 

(2)サイトの見られ方

 

学生がサイトを訪れる代表的な目的は、

・何らかの「アウトプット(作成)」を伴う選考対策(IS選考や本選考など)

・DMやイベント参加、あるいは口コミで知った情報の「確認」

であり、単に企業研究を目的として訪れることは少ないのが現実です。

 

そのため、学生は効率的に目的を達成しようとし、必要な情報だけをピンポイントで探す行動をとり、それが最短で見つけられることを求めます。

訪問の目的に必要な情報を得れば、多くはそのまま離脱します。

 

(3) サイトの効果

 

サイトのコンテンツを引用しながらエントリーシートや面接のトークシナリオを作成する過程で学生の企業理解が深まり、場合によっては志望度が高まります。

 

また、サイト内の情報(=公式発表)によって「口コミで得た不確定な情報」「接触して感じた企業理解の仮説」が確信に変わり、それが企業研究や選考参加の継続につながることがあります。

 

 

 

<3> 採用サイトの効果を最大化する方法

 

これまでの「使われ方」を踏まえ、以下のポイントを意識することが重要です。

 

(1) 「見に来る目的・状態」と「見られ方」に合わせた導線設計(UX/UI)

 

全てのコンテンツについて「計画的な導線設計×意図通りの誘導」をセットしたいところですが、まずは以下のリストから取組みやすいものに着手してください。

 

・インターンシップや本選考の情報にすぐアクセスできる導線

・「事業→仕事→キャリアパス→社風・待遇」といった情報のセットが、職種やコース別にスムーズに辿れるレコメンド

・サイト訪問のきっかけとなるイベントや施策の告知に合わせて、対応する情報(TOPページではなく特定のコーナーや記事)へ直接誘導

 

すでに取組まれている認識であっても、Z世代ユーザーの要求レベルには達していない場合がほとんどです。

 

(2) コンテンツ提供では「企業理解と志望度向上のすり合わせ」を意識する

 

採用にとっての理想的な企業理解とは、「正しいファクトが/意義や価値を含めて狙い通りに伝わる」ことです。

 

学生にとっての志望度の向上とは、「企業理解の結果、それが自分の価値観・志望軸に合致すると認識される」ことです。

 

したがって、「企業理解のさせ方(企業目線)」と「志望度の上がり方(学生目線)」をすり合わせて、それをコンテンツづくりに反映させることが重要です。

そうすることで、自社と応募者のミスマッチが減り、内定後の口説きがスムーズになります。

 

 

 

<4> その他押さえておくべきポイント

 

(1) 「誰」のためのサイトか?メインターゲットの設定

 

採用サイトは公式のオープン情報であるため、「全ての就活生もしくは採用対象に配慮したい」と考えがちです。

 

しかし、確実な広報効果を上げるためには、「特に情報を届けたいターゲット」を絞り、ターゲットのペルソナや行動様式に合わせたサイト設計をすべきです。

そのターゲットとは、「いずれかの採用困難層」になる場合が多いでしょう。

 

過去のコンサルティング事例では、採用予算の8割を採用困難層に振り切り、

「内定者取り合いで同業下位企業に負けていた業界トップ企業が、3年で総合商社とも五分の戦いができるまでにブランドアップした」

ケースもあります。

 

(2) それでも「不特定多数へのブランディング」をしたい場合

 

「選考対策のアウトプット」や「正しいファクトの確認」という訪問目的に耐えうるには、質的にも量的にもある程度リッチな情報を出さざるを得ません。

 

そもそもwebサイトや公式サイトという媒体の一般的な特性として、情報量は多くなります。

 

このため、認知や興味・関心の薄い低志望層にとっては、情報量の多さが閲覧のハードルになってしまいます。

 

「不特定多数へのブランディング」には、採用サイトよりも、ショートコンテンツが前提となっているSNSの活用が適しています。

過去の記事でもご紹介した通り、大手企業であればInstagramを手法として検討することをお勧めします。

 

 

 

<5> まとめ

 

採用サイトに対する期待を現実と照らし合わせることで、効果的な活用方法が見えてきます。

 

・採用サイトの役割を正しく理解する(不特定多数へのブランド認知のツールとして過度に期待しない)

・学生の訪問目的に合った導線設計を行い、情報を見つけやすくする

・企業理解と志望度向上を結びつけるコンテンツ提供を心掛け、伝えたい情報と知りたい情報を一致させる。

・ターゲットを明確にし、特に採用困難層に焦点を当てた情報発信を行う

・不特定多数のブランディングにはSNSを活用する(情報量が多くなりがちな採用サイトとは異なる手法を取り入れる)

 

採用サイトの効果を最大化するために、これらのポイントを意識して戦略を立てましょう。

 

 

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