先週号では、「夏インターンシップに積極的に参加した学生のうち」秋以降にも出会うチャンスがある学生タイプをご紹介しました。
※先週号はこちら
一方で、夏インターンシップが主戦場になった今でも、秋以降に本格的に就活を行う優秀な学生は存在します。
学生インタビューを通じて浮かび上がった「事務系就活で」「秋以降に本格的に動く有望株」は次の5タイプです。
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《1》「引退まで部活に全集中の体育会系」
《2》「民間企業に疎い人文系」
《3》「文理を併願受験系」
《4》「夏頃に帰国した留学生」
《5》「官僚と併願系」
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《1》「引退まで部活に全集中の体育会系」
【ペルソナ】
・旧帝大クラス経済学部
・ボート部 主将
・練習やら合宿やらで、ほとんどの時間は埋まっていく
・幼少期から自他ともに認めるリーダー役
・集団を率いるには「木も見て森も見る」ことが大事という信念を持つ
【企業選びのスタンス】
・引退ギリギリまで部活に力を注ぎ、就活後も部活に関わりたいため、とにかく就活を短く終わらせたい
・「先輩が受験しがち/先輩の推薦する企業なら安心」の考えが強く、OBGがいない企業は親近感を感じない
・先方から部活訪問をして企業説明(&飲み会)をしてくれる商社/金融/大手広告はとりあえず受ける
・ブランドイメージの高いデベロッパー、楽しそうなイメージの空運パイロット職や飲料メーカーも受験予定
【秋以降の就活行動と心理】
・就活準備は遅れているが(なぜか)自信も度胸もあるため、冬頃から「応募のタイパがよく」「選考直結もしくは早期内定ができる」施策にガンガン応募
・インターンシップほか全ての企業研究をショートカットして、いきなりエントリーも珍しくない
・「頑張ったこと=部活」という絶対的な自信があり、自己分析もさほど深ぼらない
・最悪、受験しながら企業研究&マッチングすればよいだろうと考えている
●アプローチのポイント
・玉石混淆ではあるが、意外と「玉」も多い
・スカウトサービスで「登録しているものの、入力・ログインが少ない(ためにスカウトされていない)」かつ「上位校/有名体育会」で名簿を抽出し、DMでアプローチするとまとめて出会えることがある
・地頭/地力は高いがとにかく企業研究不足。こちらからの働きかけで(もしくは強制的に)企業理解を促す機会を提案していくことで勝率が上がり、ミスマッチも防ぐことが可能
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《2》「民間企業に疎い人文系」
【ペルソナ】
・早慶クラス社会学部
・公共系のゼミで社会課題を研究
・社会課題に関するインカレ学生団体で幹部を経験後は、NPOで長期インターン
・「利益を最大化するためだけの行動規範」「スキル寄りのキャリア観」などにあまり共感できない
・真面目でコツコツ努力する性格
【企業選びのスタンス】
・「ゼミも長期インターン先も実業と遠い」「就活開始も遅い」ため、周囲の学生より企業のことを分かっていないと自認
・知識不足を補うため、まずは幅広に業界や企業を見たい
・長期的には、自身の社会に対する問題意識とつながっている仕事がしたい
【秋以降の就活行動と心理】
・院進を検討していたため、就活に本腰を入れるのが冬となった
・企業との直接接触の前に、採用サイトや企業紹介動画などから基本知識をインプット
・スロースタートで自信がないため、まずは志望度の低い企業、それもオープンカンパニーや1dayインターンシップを中心に受け始める
●アプローチのポイント
・能力が高くて素直なため、「特定のスキルに拠らず、総合力を発揮してほしい」タイプの職種(従来通りのゼネラリスト)に適し、本人も同様の志向を持つ
・「社会的価値」「社会的意義」が企業探しの初期軸かつキャリアの最終軸。「社会」がキャッチコピーに入っていると(学生の側から)発見されやすくなる
・早めにメンターなどの1on1に繋ぐと「自社の色に染め上げる/囲い込む」ことが可能
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《3》「文理を併願受験系」
【ペルソナ】
・旧帝大クラス工学部 院生・学部生
・周りの多くが修士に進むため自分も院進
・基盤となる専門性は大学で確立済み
・学際的・業際的な研究室に入り、キャリアの視野が広がる
・研究と学内生活だけでも多忙なため、就活コミュニティなどには入らず
・好奇心旺盛で、もともと“理系っぽくない”コミュ力を保持
【企業選びのスタンス】
・就活開始の時点で、事務系職・技術系職の両方に興味があった
・周りに情報が無かったため、夏はまず無難に「技術系職対象のインターンシップ」、ついで「事務系職対象ではあるが、研究室の内定実績が豊富なメーカーのインターンシップ」に応募
・自身の興味と企業からの評価(自身のような志向を持つ学生へのニーズ)のバランスを見ながら、最終的な志望先を絞りたい
【秋以降の就活行動と心理】
・夏の就活で「ある程度、事務系の採用枠でも評価されうる」という自信を深めたため、秋以降は事務系職中心に受験予定
・知識・強みを総合的に活用できそうなのはメーカーと認識しつつも、興味のある業界・企業・職種をいろいろ受けてみたい
・学業も忙しいため、複数日程インターンシップへの参加は長期休暇中のみ。それ以外は1dayインターンシップや、土日もしくは夜開催のイベントに参加予定
●アプローチのポイント
・内定実績が豊富な、もしくはその周辺業界のメーカーなら、広くチャンスあり
・プロフィール上は理系学生のため、ラボベースやテックオファーなどの“理系院生スカウトサービス”から希望職種をキーワードに丁寧に検索すれば、このタイプの学生を抽出できる可能性
・冬休み/春休み(後期試験と被らない時期)に開催する選考直結型インターンシップに誘導できるとベスト
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《4》「夏頃に帰国した留学生」
【ペルソナ】
・地方国公立クラス商学部
・全方位の実力を磨きたいため、成長できそうな課外活動に広く深めに参加
・長期留学もその一環
・地元有力校卒で負けん気が強い
・地元を越境した同期ネットワーキング、情報収集にも熱心。その結果、就活ノウハウ中心のコミュニティは”ペラい”と感じるように
【企業選びのスタンス】
・グローバルキャリアオンリーに絞っているわけではない。夏就活の機会を逃したため、外資も受験するが主眼ではない
・「自分の力を試し、成長したい」気持ちが強く、難関とされる企業が第一志望
・金融総合職なども受験しつつ、本命は総合商社・デベロッパー・総合コンサル
【秋以降の就活行動と心理】
・夏の遅れを冬までには挽回したいと考えており、1dayから5daysまで幅広く応募
・冬の商社インターンシップに照準を合わせ、スタートから「いきなり本番」という本気度で動いている
●アプローチのポイント
・しっかり理解し確実に内定を得るため、「複数日程×選考直結」狙い。選考への接続が見えない1day施策は手軽でも敬遠される
・とはいえ秋冬に大量のスケジュールをこなすことになるため、「海外開催」「2週間近い日程」などのインターンシップは忌避
・「社会的地位(職種の難度でも可)・挑戦心・タイパ感」をセットで刺激するとイベント参加のフックがかかる
・OBG訪問が活発期のため、スカウトはビズリーチからが効果的か
・インターンシップ参加時には、本人の「地頭・実力」を評価するフィードバックが必須
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《5》「官僚と併願系」
【ペルソナ】
・旧帝大クラス法学部
・ビジネスコンテスト系学生団体幹部
・ビッグイシューの持つ社会性や公益性もさることながら、その「複雑性と解決の難しさ」に魅力を感じる
・好奇心旺盛でフットワークが軽いが、興味関心が散漫になるきらいも
【企業選びのスタンス】
・「難題の解決」という軸で、官僚/政府系金融/総合商社/(国家案件を請け負えるような)広告代理店/戦略コンサルが第一志望群
・上記の企業選びは、周りの就活生と自分の脳内イメージで決めた
・将来、経営者という立場で難題に立ち向かう=起業も視野に入れているため、「経営を学べるファーストキャリア」にも興味がある
【秋以降の就活行動と心理】
・夏は国家総合職の筆記試験対策で忙しく民間就活に時間が割けなかったため、秋から本格的に就活スタート
・脳内イメージの確認は、想像しているキャリアに近いOBGに話を聞くのが一番早いと考えている
・官僚志望度も高いため就活の腰が重くなりがちだが、業界を食わず嫌いする気持ちはないため、面白そうと思えば第一志望群でなくてもインターンシップなどに参加する可能性あり
・できる限り、官僚の面接開始前(官庁訪問前)までに内定を得たい(春までの内定獲得を目指す)
●アプローチのポイント
・国家総合職受験の本気度にもよるが、10~1月中(あるいは4~5月)が出会いやすい
・「OBG訪問はビズリーチ」という学生内イメージは確立しているものの、この事例にあてはまる魅力的なキャリアを持つOBGの登録は希少で、マッチングが成立しないのが実状
・「魅力的なキャリアのOBGとの大学別少人数座談会」の方が出会いとして確実かつ効率的な可能性が高い
・「お題×解決の種類・方法×関わる立場・役割」の3点について自社の魅力を語ることができれば志望のフックがかかる
・まずは上記の仮想競合企業群のいずれかに似せて自社の魅力を語り、後日、差別化トークを展開する方法が効果的
前編(先週号)はこちらから
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