(株)ピボット シニアコンサルタント/(株)ワークウィズジョイ 代表取締役 新保 博文
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(1)トップ企業で進む、新卒採用でのSNS活用
近年、多くの企業が新卒採用にSNSを活用するようになりました。
当社の調査によれば、就職人気ランキング文理トップ30(※)に入る企業の約半数が、すでにSNSを採用活動に取り入れています。
ここ数年でアカウントを開設した企業も多く、SNSの導入が急速に進んでいるのは明らかです。
SNSを採用に活用していない企業は、すでに出遅れている可能性があります。
競合他社がSNSを利用して優秀な人材と接点を持つ一方で、SNS未導入の企業は潜在的なタレント層との接点を逃しているかもしれません。
(※)ワンキャリア社「26卒就職人気企業ランキング」(2024年5月発表)
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(2)活用の背景に「コンテンツ消費時間の短縮」
昨今の学生は、驚くほど短い時間でコンテンツを消費しています。
映画からドラマ、YouTube、そしてショート動画へと、動画コンテンツはどんどん短くなっています。
テキストも同様で、ブログや本の長文からSNSの百文字程度の投稿へと、情報量が削減されています。
こうしたコンテンツに慣れている学生が、関心が低いタイミングに採用HPを訪れて長文を見たら、そっと画面を閉じてしまいます。
関心の低い段階では、むしろメールやリプのようなマイクロコピー(短い文言)、ストーリー性やインパクトを備えたショートコンテンツの方がパワーを発揮するでしょう。
コンテンツ消費時間の短縮傾向に対応するという意味でも、SNSの活用は必要性が増しています。
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(3)活用に踏み出す際には、まず各SNSの特性を理解する
SNSはそれぞれ特有のユーザー層やコンテンツ形式を持っています。
採用活動で効果的に活用するには、これらの特徴を理解し、適切な媒体を選ぶことが重要です。
よく聞かれる学生コメントと共に特徴を紹介します。
●LINE(月間利用者数:9,500万人)
・全年代が利用するメッセージプラットフォーム
・採用担当者と学生の間で連絡手段として利用されることが多い
・認知の獲得には向かない
・「応募後」など最終盤フェーズなら多様な使い途があるかもしれない
・学生にとっては「距離が近い知人との連絡手段」「広告到達度が低いメディア」
●YouTube(月間利用者数:7,120万人)
・全世代が利用する動画共有プラットフォーム
・長めの動画で興味を高める/(興味に即した)理解の促進には最適
・短時間での認知獲得には向かない
・学生にとっては「興味が明確な時の情報収集(深掘り)メディア」
●TiKToK(月間利用者数:2,567万人)
・10代・20代が利用するショート動画共有プラットフォーム
・アルゴリズムによる拡散性が高く、認知の獲得に向く
・他のSNSよりも「治安」が悪く、公式情報の拡散には向かない
・学生にとっては「スキマ時間活用メディア」
●Instagram(月間利用者数:3,300万人)
・20代・30代が利用する写真・動画を通じた情報発信プラットフォーム
・企業や社員を視覚的に短時間で伝えられるため、認知や興味の獲得に向く
・ハッシュタグ/ショッピング機能も充実→転じて、企業情報の検索が容易な環境
・学生にとっては「XやYouTubeより負荷の少ない情報収集メディア」「TikTokよりは信頼感のあるスキマ時間活用メディア」
●X(月間利用者数:4,500万人)
・140文字以内の短文投稿で、リアルタイム/情緒的なニュース共有プラットフォーム
・拡散性が高く、認知の獲得に向く。就活情報収集アカウントも多い
・フェイクニュースも多く、炎上リスクが高いので運用には注意が必要
・学生にとっては「文章を読む習慣の有無で好き嫌いが分かれるメディア」
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(4)就活生の意思決定フェーズごとのSNS活用アイディア
SNSの特性を踏まえ、学生の意思決定フェーズ(関心の段階)ごとの活用方法をまとめると、次のようになると思われます。
●フェーズ1:認知の獲得
アルゴリズム上、拡散性が高いSNSを用い、話題性を持たせた投稿を行うのが効果的です。
「社名の認知度が低い」場合の対策に最適ですが、人気企業であれば「認知度/人気度の低い募集部門」に限定して使うことが考えられます。
BtoB事業が中心で消費者知名度が低い大手企業であれば、「イメージを変えるような意外な投稿」でアイキャッチする、TVCMのような使い方もあるでしょう。
適するSNSはXとTikTokですが、炎上リスクも高いため、初心者や初めてのSNS導入には向きません。
●フェーズ2:興味の喚起
学生に視聴の負荷をかけずに刺激策を打つことができるため、SNSの特性が活きるフェーズです。
DMやスカウトメール(マイクロコピー)での案内にSNSのリンクを添えてインパクトのあるショートコンテンツに誘導し、「面白そう。インターンやイベント見てみようかな?」となれば、このフェーズの成果としては十分です。
最も適するSNSはInstagramです。ビジュアルリッチな記事やショート動画を流し見させて、感覚的なイメージ・印象を残すことを目指します。
●フェーズ3:理解の促進
広く浅い出会いから、インターンや面談での深いパーソナライズに移行する段階のため、本質的にはSNSなどよりも「人」による惹き付けが有効です。
とはいえ、人のマッチングには多大な工数がかかるため、代替手段としてのSNS活用が考えられます。
適するSNSはYoutubeです。インタビュー動画やオンラインセミナーの公開のほか、採用担当者による(インフルエンサーのような)番組運営も効果的です。
カジュアルに制作・投稿を続けられる体制づくりが継続的な実行の鍵です。
●フェーズ4:応募~入社決定
パーソナルな不安解消、動機形成が重要な段階です。
SNS上で簡単にアクセスできる記事や情報を提供することで、学生が行う「意思決定のための情報の再収集/再点検」をサポートできます。
採用担当者や協力社員が連絡用にLINEを交換するケースも見られます。
ただ、運用負荷が高く、採用担当の人員が薄い場合は却って業務負荷が上がってしまうため注意が必要です。
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(5)大手企業の現実的なSNS導入ステップ、まずはInstagramから
●ステップ1:Instagram
大手企業がSNSを採用活動に導入する際、最初のステップとしておすすめなのがInstagramです。
媒体として、(他のSNSよりも)運営リスクが少なく、採用HPのコンテンツを活用した再編集で、コンテンツを手軽に準備できます。
●ステップ2:YouTube
まずは、手持ちの「インタビュー動画」「セミナー動画」などにチャプター設定(セクション分け)を施し、学生が関心に応じた視聴がしやすい環境を整えて格納することからスタートします。
ネクストステップは「カジュアル&ライトな動画投稿を定期的に行う(番組的運営)」ですが、
・ショート動画の作成コンサルティングを受ける
・シナリオ作成~運営代行を依頼する
といった外注による運営も可能です。
●ステップ3:X
ベースのSNS運営が準備された段階で、「告知の拡散(連絡掲示板)」的にXの運用を開始します。
ただ、やはり大手企業では「認知度が低い職種限定」「羽目を外し過ぎないテイスト」での運用に留まるのが無難でしょう。
(Xの特性である、リアルタイム/話題性による拡散を享受し切ることは難しい)
●ステップ4:LINE
ある程度「志望の本気度が高い」層に限定して、ファン/会員コミュニティ的にLINEを活用します。
身近なもので言うと「行きつけの美容室」などのLINEはイメージに近いかもしれません。
パーソナルな関心に応じたレコメンドまで行う場合には、LINE専用のマーケティングツールLSTEPなどに習熟する必要があります。
本格的な運用は外注もしくは、BtoC企業であれば社内のLINEマーケティング部門の強力を仰ぐのが現実的でしょう。
いずれ、採用活動にSNSを戦略的に組み込んだアプローチは必須となるでしょう。
現実的に可能な取組みからSNS活用の一歩を踏み出し、経験値を積んでおかれることをお勧めします。
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