監修:株式会社ピボット 代表取締役/ブランドコンサルタント 西山亜矢子
●ブランドポジション(人気・併願動向)
<総合コンサル(Big4・アクセンチュア等)>
*人気は引き続き高い。 「採用数が多い」「選考開始が早く内定までの期間が短い」ため、他業界に先駆けて受験できることが大きい。
*インターン参加、内定難易度ともにそこまで高くないと認識されている。そのため、戦略コンサル、IBD、商社、デベロッパーなど難関業界の滑り止めになってもいる。 本命・難関企業の受験前に「自信・箔をつける」ために内定取得を狙う学生も。
*Big4系のFASは学生の専門職志向も相まって人気上昇。 「他部門より募集人数が多い」「ケース面接がない」ことでコンサル系職種より「敷居が低い」イメージも。
<デベロッパー>
*人気は引き続き堅調。特に三井不動産・三菱地所は三菱商事・三井物産と拮抗。
*「高給・ホワイトイメージ」「社会的なステータスの高さ」「首都圏配属が中心(配属
リスクが小さい)」「影響力の大きいビジネス」など、学生を惹きつける要素が揃っていることが人気の理由。
*志望理由を突き詰めると、漠然とした仕事・業界イメージが先行し、強い論拠を感じられないことも。イメージゆえに覆しにくい側面があり、他企業が内定者を取り合う際に、説得が難しい場合も。
<運輸>
*エアライン系はコロナ禍以降の事業回復、採用の再開・拡大を受け、人気が復活しつつあるが、他業界の志望層も広く取り込むかつてのような影響力には欠ける。海運は「ホワイト×海外志向」の学生からの人気が底堅い。
<広告>
*「創造的な仕事」「高給」「国内ビッグビジネス」などの伝統的な志望理由は健在。併せて「配属リスク(地方勤務)の少なさ)」を理由に挙げる学生も増えた印象。
*近年は「社会的課題への取り組み」「デジタル(マーケティング)」などの旬なテーマでも学生を吸引している。
*「長時間勤務」「体育会系」などのマイナス・イメージは以前ほどは強くない。
*インターン経由の早期内定が多いこともあり、他業界にとっては、広告業界との直接競合(内定者の奪い合い)は減少。ただしデジタル系職種を除く。
<IT・Sier>
*「社会全般のDXトレンド」「市場の将来性」「専門スキルと転職可能性」などの面で人気上昇が続く。「首都圏勤務の多さ(配属リスクが少ない)」「ホワイトなイメージ(総合コンサルなどとの比較)」なども人気の理由。
*総合コンサル受験を機にITコンサル・デジタル系に志望を拡げるケースも多い。
*「Sier=ブラック」「○才定年説」など、過去の業界イメージは希薄になった。
*他業界からの流入、併願が増えた分、内定後の辞退は増える傾向へ。
*IT・デジタル系で得られる専門性のイメージは「深く・限定的(特定職種に固有)」から「広く・汎用性のある」ものへ変わりつつある。「ゼネラリスト(複数の専門を持つ)としての成長」「ジョブローテーションによる育成」を積極的に評価する学生も。
●プロセス・手法
【コース設計】
*商社・金融・メーカーなど他業界に比べると、職種別・コース別採用を新設・強化
するケースは少ない(IT・デジタル系企業を除く)。
*コース別の制度設計が明確な例として、NTT東日本では 「セールス&マーケティ
ング」「サービス開発」「コーポレート」など5コースから選択が可能。
【インターンシップとマッチング・選考優遇】
*参加したインターンの「時期」によって選考日程を分ける企業が目立つ(広告など)。選考日程を「職種・コース」と紐づける考え方は他業界ほど顕著ではない。
*選考直結型インターンでは参加前の選考を加味し、参加後は最終面接のみなど
選考ステップが免除されることが通例となっている。
【選考・内定出し】
*IT・デジタル系企業を中心に、ダイレクト・リクルーティング(スカウト等)を積極的に活用。
*三菱地所は24卒よりガクチカを廃止し、「自分史」の記入に変更している。
*面接ステップに自社固有の名称を使う企業が見られる。
NTTデータ「プレミアム・イベント(1次・2次面接に相当)」、電通「キャリアインタ
ビュー(面接)」、関西電力「キャリアセッション(本面接)」など。
選考であることを明示せず、双方向性のある対話・マッチングの場として印象
づける意図があると思われる。
●スケジュール
*選考開始・内定時期ともに企業・職種によるバラツキが大きい。ただし大半の
企業が5月中に選考を終える。内定出しを6月まで持ち越すケースは少ない。
*インターン経由のルートでは年内内定のケースも見られるなど、日程を大幅に
前倒しする企業も目立つ。 他業界と比べても早期化の度合いが大きい。
<デベロッパー>
*三井不動産・三菱地所がともに4月選考を公式化し、2ターム制に移行した。
*商社で進む「3月選考/6月選考」と併せ、人気業界の内定出しが早期化・2極化したことで、優秀層の就活行動に大きな影響が生じた。この傾向は26卒以降も変わらないと思われる。
<広告>
*電通:選考直結インターンからの早期選考コース(1月内定)を新設 。
*博報堂:選考直結インターンは夏・冬・春の3本。
インターン参加後は、間を置かず最終面接・内定出しに至る。
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