【12月の採用市場ウォッチポイント】


【25卒】出会いを「本エントリー」につなげるフォローの工夫

株式会社ピボット 代表取締役/ブランドコンサルタント ⻄山亜矢子


インターン等の初期接触で他社をリードしても、本選考へのエントリーに繋がらなければ意味がありません。
今週号では、今からでもできるフォローの工夫をお伝えします。

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1.【本音をやりとりできる】施策の投入
近年、ベンダーサービスを経由してのOBOG訪問が増えた結果、学生の中でその位置づけが変わってきました。
「選考プロセスと紐づかない自前の情報収集手段」ではなく、「高評価を得れば優遇につながるかも」「手順や様式には決まりや正解がある」といった捉え方が広がっています。評価・選考される場だと構えてしまい、本音をカジュアルにやりとりできる機能が失われつつあります。

代替施策のアイディアとしては、以下のようなものが考えられます。
・(ベンチャー企業が行うような)オフィスでの軽食付きミートアップ
・内定者主催の(学内での)説明会
・大学の部活単位の訪問会・説明会
・企業側の部活などへの招待(好きな事でつながる)

OGOB訪問では、社員のスキルやモラル、コンプライアンス管理も難しくなります。代替施策では採用チームの目が届きやすいこともメリットでしょう。

なお、運営にあたっては、
・社員(企業)の方から先に、内情や本音を語る。悪い事やネガ情報も(ただし前向きに)伝える
・学生が大切にしていることに共感を示しながら、しっかり傾聴する
といったことを心がけてください。

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2.選考につながる【ステップアップ感】の演出

出会いが夏期インターンだった場合、すでに複数回の接点を設けた企業もあると思います。
フォローがマンネリ化すると、効果が薄れるだけではなく、足踏み感/無駄活感による離脱(受験候補から外す)の懸念が高まります。

つなぎ止めには、「内定に向けて少しずつでも進んでいる(評価を蓄積できている)」というステップアップ感の演出が効果的です。

施策の質的な工夫としては、
・年次の高い社員/レアな職種の社員/メディアなどで有名な社員 と話せる
・1対1もしくはごく少人数でじっくり話せる
・(社内の)特別な施設を案内する
・社員向けイベント/カンファレンスなどに招待する
・社内の制度を詳しく紹介する/疑似体験する
などがあります。ポイントは「特別感」と「内部感」です。

施策の中身を変えられない場合は、
・タイトルに「限定」「厳選」「〇〇の方のみ」といったワードを使う
・案内メールの本文で「(あなたを)評価している」というニュアンスを伝える
といった、文言の工夫だけでも効果があります。

次項で紹介する、対応のパーソナライズも有効です。


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3.対応の【パーソナライズ】で深いエンゲージを実現

選考前の段階で「その他大勢やワンオブゼムではない、あなた個人を見ている」というコミュニケーションができれば、応募者との距離はグッと縮まります。
他社とのスピード勝負になりがちな選考・内定期を競合優位で進めるためにも、時間的ゆとりがあるうちに、学生とのエンゲージを深めておくことは重要です。

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ポイント(1) 「学生タイプを見極めた」施策への招待/コンテンツ

学生がすでに「やりたいことや希望業務」を絞り込めている場合、初歩的・総花的なフォローは逆効果になりかねません。該当する事業や部門・職種に特化した説明会、社員との面談設定がオーソドックスな対応です。

一方、事業や業務の志向がはっきりしておらず、「一般論的なキャリアステップや成長イメージだけを持っている」場合も多々あります。
最近よく聞く「(転職時の)人材価値を高めておきたい」と語るような学生に対しては、例えばプロパー社員に限らず「転職してきた社員/転職したあと再び戻ってきた社員」との面談やパネルディスカッションなども刺さるコンテンツになります。

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ポイント(2) 「当社があなたに適する理由」「希望のキャリアを自社ならどう実現できるか」をレコメンド

自己理解や企業研究がそもそも甘かったり、本人の適性に合わないものを志望している学生も少なくありません。
学生が希望や条件を詳しく語ってくれれば対応しやすいのですが、「〇〇業界に興味がある」「(他社の)〇〇という仕事がしたい」以上のヒントが引き出せないことも往々にしてあります。

他業界や他社の職種に引き寄せて自社をアピールするには、「多様な業界/仕事の知識」が必要です。
「今、学生の間で人気がある」「自社と競合しがち」な業界・企業・職種については、「自社で言えばこういった事業・仕事(が該当する)」というマニュアルを配布もしくは研修を行うことをお勧めします。

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4.事前準備としての【志向タイプ別】の学生理解/応募者分類は欠かせない

1~3でご紹介してきたいずれの工夫も「学生の志向を正しく理解し、タイプ別に対応する」ことが大前提となります。
登録済の学生をマスでとらえず「プロフィール情報や接触履歴データを読み解き、適切なカテゴリー分類(フラグ付け)しておく」ことが欠かせません。

多忙で実行に手が付けられないという場合は、
・「学生タイプの定義(応募者の類型化)」を採用コンサルタントに依頼する
・「個々の応募学生データの読み解きや分類(フラグ付け)」をスカウト代行や選考アウトソーサーに依頼する
という方法もあります。

この事前準備は、重複内定者のクロージング(競合他社との内定者の取り合い)の際にも、大いに役立ちます。
無理のない範囲で着手いただき、効果的なフォローを実現してください。

 

 


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