前回に引き続き、トップ学生による【夏インターンに関する生声】の第3弾をお届けします!
最終回となる今号では、いよいよ【内容・プログラム】に関する学生の本音をご紹介します。
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▼インターン設計で避けるべき大前提
【パターン1】 体験業務の意義付けが不足
「海運業界に興味があったので参加したものの、計算業務の実務を体験する個人ワークのみだった。つまらなかったので志望度が下がった」(海運)
選考直結などで重要性を増す就業体験プログラムも、やり方を間違えると逆効果です。
個別業務の意義・役割・やりがいなどを伝えるためには、その業務が組み込まれているバリューチェーンを含めた説明が欠かせません。
自社のバリューチェーンの中で、該当業務はどのような機能や価値を持つのかをきちんと説明することで、学生側は構造的に意義・役割を理解できます。それにより、「この職種が面白そう」「この仕事はやりがいがありそう」という反応を引き出すことができるでしょう。
【パターン2】受動的なプログラム/企業セミナーと変わらない内容
「会社説明を延々聞かされ、個人ワークを行い提出するだけで、退屈でつまらなかった」(金融)
「オンライン開催のインターンで午前中ずっと座学。開始時間も早く、聞いているばかりで眠かった」(メーカー)
「企業理解や入社後の実務に関連せず、就活生の能力を見るためのワークだった。『なんでこれをやらされているのだろう?』と思い、つまらなかった」(メーカー)
企業・事業の概要説明はHPやマイページ内の資料や動画、社内外の説明会などで済ませ、インターンではそこでしか手に入らない生の情報を得たいという傾向は年々強まっています。
「時間を割いてまで参加する意味(価値)がないインターン」と評されると、SNSなどを通じて次年度以降の集客にも影響が出る可能性があります。
キャリア教育の低学年化により、大学1年生からオープン・カンパニーなどに参加する流れも強まると予想されます。ターゲット×コンテンツ×ツールの戦略的な設計が、今後ますます重要となってくるでしょう。
▼ワークの「難易度」に応じた時間配分を
【パターン1】 〈テーマ×時間配分〉のバランスの悪さ
「テーマが『ある社会課題の解決』とあまりに漠然としていた。無限個の選択肢から何を軸に課題を設定すればいいのか分からず、1日目の終盤まで全然議論が進まなかった。残り時間に余裕がなく、深夜に(残業的に)資料を作成したり、追加調査・論点整理をしておく必要があった」(メーカー、金融)
このインターンは2daysでしたが、結果的に一部参加者に自主残業を強いることになり、設計のまずさを露呈する形になりました。
抽象度/自由度の高いテーマ、学生に馴染みの薄いテーマの場合は、十分な議論の時間設定と共に、議論の取っ掛かりや、スムーズな進め方についての誘導が求められます。丸投げでは、議論以前の議論に終始することになりかねません。
特に夏のインターンは経験の浅い学生も多いため、余裕のある時間配分にすることは必須と言えます。
【パターン2】 内容に対して設定時間が明らかに短すぎる
「仕事内容としては面白かったが、インターンの設計自体が残業必須の内容で、ホワイトではなさそうだと感じた」(金融)
「時間の余裕がなく、スピード感と緊迫感があったものの実際のビジネスではここまで焦ることないだろうと思うくらいにはワークの時間が短すぎた」(プラント)
「何日目の何時に何を決めるというのがかなり決まっていて、フレームワークに疑問があってもそのまま進めなければいけなかった」(コンサル)
残業必須の建付けは「ブラック企業」認定につながり、SNS等で拡散されるリスクが発生します。
また、時間が足りないと感じた学生/グループは、「納得のいくまで話し合い続ける」ことを諦め、「プレゼンテーションなどの成果物を仕上げる」ことにシフトしてしまいがちです。
とはいえ、むやみに時間を引き延ばすと多忙な就活生に敬遠される可能性もあります。
制限時間内に議論がうまく進むためには、適切なグループ人数、メンター社員の配置、議論上のフレームワークの用意など、設計の工夫が必須です。
フレームワークはたとえ事前学習を課していても、学生だけではうまく活用できないケースが見られるため、当日のワークでは社員のサポートが望まれます。
【パターン3】 読むべき資料が多すぎる
「1dayなので仕方ないが、ワークの時間の短さに対して読むべき資料が多く、処理しきれなかった」(金融)
「資料の情報量が多く、難しいお題だったのに対して、グループワークの時間が短く、中途半端なまま発表に移ってしまった」(金融)
「3daysインターンに参加したが、事前資料及び事前学習動画がかなり重かった。特に、7~8領域あって、30分から長いものだと2時間近いものもあったと記憶している」(金融)
特に1dayや半日のインターンで「資料の読み込みに時間をとられ、ワークが時間切れに」という声が目立ちました。
オンライン開催が多い夏の1dayは「特に志望していないけれど、ちょうど時間が空いたので」参加するケースも珍しくありません。業界・企業研究も未熟で、専門用語にも慣れていない学生にむやみに資料を渡しても、オーバーフローになることは容易に推測できます。
消化不良からの離脱を防ぐため、インターンの目的や参加者の志望度・レベル等にフィットした量・難易度の資料が望まれます。
▼「グループワークの評価が腑に落ちない」
「ワークを評価する視点に論理性を感じられず、納得感が少なかった」(金融)
「解説上のストーリー展開があまりに夢物語のハッピーエンドで、現実味がなく興ざめ」(金融)
グループワークは、社員(のレベル)が学生から評価される場でもあります。
ワークのテーマは仮想性の高い「新規事業提案」よりも、実務に即したものを望む傾向が強いようです。ワーク結果の評価についても「社員の思い付きベース」や「フィクションじみた」内容ではなく、ビジネスの臨場感を感じられるコメントの方が、仕事の奥行や醍醐味を伝えることができます。
▼メンタリングとフィードバックのGood/Badケース
「2班に1人社員がついていた。議論が詰まった時に助け船を出してくださったり、簡単ではあったがグループの議論や発表資料に対してFBをしてもらったりした」(メーカー)
「メンターとして社員が1人つき、ワーク中も適宜質問やフィードバックをしてくださって軌道修正してもらった。また、ワーク後に1on1でもフィードバックがあり、一人ひとりの特性を見てくださっていたことがよく分かった」(IT)
フィードバックの有無や関わった社員の数は、インターンの評価に直結します。グループだけでなく個別にフィードバックがあると、しっかり見てもらえたという印象が強まります。
鋭く的確なフィードバックは「優秀な社員」を印象付け、特にトップ学生による評価を高めます。
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「ワーク中に考えた案を質問として社員に聞いた時、『それは無理じゃない?』と否定から入られた」(金融)
「発表後に、全体ではなく各班ごとのフィードバックがほしかった」(金融)
期待度が高いゆえ、フィードバックに学生は敏感に反応します。頭ごなしに否定したり、全体的な感想に終始するだけでは学生を失望させてしまいます。
また、参加社員の熱意や誠実さも、学生が注目するポイントです。採用担当だけでなく、インターンに参加するすべての社員は会社代表として見られるという基本的な事項を、あらためて周知しておくことが必要かもしれません。
▼登場社員のプロフィールを見える化
「オンライン座談会で、社員が待機しているブレイクアウトルームへ順番に飛ばされていく形だった。毎回「配属部署」「就活時の志望動機」など、共通した内容を聞く時間が多くなってしまい、内容を深めた質問をする時間が足りなかった。基本情報はパワポなど手元で目を通せる状態にしていただけると、やり取りの時間が短縮されて効率的だと思う」(金融)
登場する社員のプロフィールは、定型フォーマットにして事前配布することをお勧めします。
学生は事前に聞きたいポイント・質問案を検討できますし、内容の理解が深まるでしょう。
一方、任意参加の座談会・懇親会では「帰りたくても帰りづらい雰囲気」を訴える声も聞かれます。開始前や社員が交代するタイミングで「遠慮なく抜けていい」とひと声かけるとスマートです。
短時間で多様な属性の社員と会える座談会は、雰囲気やキャリア、自分の適性なども確認できる機会として、志望度を左右するケースも多くみられます。学生×社員のマッチングに加え、運営面でもできるだけ多様な学生のニーズにこたえたいところです。
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