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【9月の採用市場ウォッチポイント】(2)


「就活アカウント」が最強の情報チャネルに?

25卒の就活情報収集事情

株式会社ピボット 代表取締役/ブランドコンサルタント ⻄山亜矢子


先週に引き続き、25卒学生へのインタビューから生声の紹介です。

 

今週は、

・「ポータルサイト以外の」情報チャネルに対する学生の認識/使い勝手

・情報収集の中で出会う「出自の怪しい噂」

についてお伝えします。

 

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▼「ポータルサイト以外の」情報チャネルへの学生の認識/使い勝手

 

各種の情報チャネルを「学生がどのようなものと捉え/どのように使っているか」は常に変化します。

存在感に変化が見られたサービス・SNSを中心に、コメントを紹介します。

 

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【ビズリーチ・キャンパス】

学生の間で、メインのスカウトサービスというポジションを固めつつある一方、

利用企業の拡大とともに学生にとっての便益の低下が始まっている

 

「スカウトサービスの中では、相対的に大手企業中心なので登録」

「ビズリーチに比べるとofferboxは中小企業からしか案内が来ない」

「OBOG訪問用と思って登録したが、事後にスカウトが来るサービスだったことを理解」

「登録した瞬間に、あまり評判の良くない企業(伝統的大手ではない)からスカウトが来る。サービスそのもののイメージが悪くなるのでやめてほしい」

「そんなに『うまいスカウト』は来ないので、最近は通知を切っている」

「アンドロイド版がサービス終了してしまい、PCのブラウザで見なければならないのが不便」

 

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【エンカレッジ】

会える・繋がるサービスが増えた結果、

学生の利用ニーズが「就活開始時」限定になり存在感が薄れる

 

「学生メンターがつくサービスのイメージだが、よくメンターがフェイドアウトする」

「何もわからない就活の超早期に、先輩メンターから声を聞きたいというニーズで使うもの。

イベントやインターンが始まり、普通に社員に話を聞けるようになると、ニーズがなくなる(現役の社会人に話を聞けるのに、学生メンターに話を聞く理由がない)」

 

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【知るカフェ】

日常的に使われてはいない(事前に学生を囲ってはいない)。

大手や人気企業なら、イベントを開催すれば学生を呼べるかも

 

「大学の近くで見かけるが、就活サービスと知らなかった」

「1年の時にイベントに参加したら、(大手の)ナビサイトへの登録を強要されて避けるようになってしまった。興味がある企業がイベントをやるなら出てみてもいいかな」

「就活学年より(授業出席数の多い)1~2年生の利用が多い気がする。レポート作成など、学校近くのWiFiカフェ代わりに利用」

 

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【旧Twitter】

就活目的とは関係なく日常的に見られており、有力な情報チャネル。

特に「就活アカウント」の影響は大きい

 

「Twitter自体は毎日見ているので、【おすすめ】で就活情報が流れてきたら見る」

「情報収集のために毎日見てはいる。リアルタイムの選考通過報告が流れてくるとついチェックしてしまう。検索除けの伏字にもすっかり詳しくなってしまった(笑)」

「就活アカウントが【おすすめ】に上がってくる。いろいろなアドバイスが書かれているので、つい読む」

 

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【Youtube】

旧Twitterとともに見られているが、情報収集チャネルにはなっておらず、

(自分にとっての)旬な話題の娯楽用メディアに近い

 

「頻繁に見ている。ただし、真面目な就活情報ではなく、デフォルメされた就活ネタをコントとして楽しんでいる。流しっぱなしにして作業のBGMとして聞いている」

「webテストの解説などを見ることはある。企業の情報などは特に見ていない」

 

 

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▼情報収集の中で出会う「出自の怪しい噂」

 

情報チャネルが増え、スカウトなどのクローズドな案内も定着する中で、

出典・真偽ともに不明な噂が拡散しやすくなっています。

拡散の起点になりやすいのが、24卒内定者・25卒就活強者などのプロフを自称する

就活専門にノウハウを投稿する旧Twitterアカウント(通称、就活垢)です。

 

企業側の採用プロセス設計にも悪影響がありそうと、気になった噂をご紹介します。

 

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「インターン選考で提出したwebテスト(の評価)が本選考で使いまわされる」

「IS選考受けたら、本選考を受験することができない」

 

主に旧Twitterなどで出回っており、「使いまわし企業」一覧をまとめている就活アカウントもあります。※添付の見本をご確認ください

 

これらの噂により、「志望度の高い企業の夏インターンの受験控え」をする学生が出ています(特に、ESやwebテストなどの準備不足を感じている場合)。

 

夏インターンを「幅広い出会いの機会」として設定している企業も多いため、

非常に悪影響のある噂と言えます。

 

 

※「使いまわし企業一覧」の見本

https://x.com/meijin_job/status/1676867015070580737?s=46

 

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「面接の逆質問でフィードバックを求めると落とされる」

 

まず、前提として「逆質問の時間に、自分(学生)の面接対応の良かったところ/悪かったところのフィードバックを求める」ということが「面接の逆質問集(ネットで出回っているテンプレ)」などで流布されており、それを否定する別の噂が出回っているという複雑な状況です。

 

ちなみに「逆質問でのフィードバックはNG」としているネットの情報(マスメディアでした)も目にしました。

 

これらが学生間で口伝される際には、出典は完全に不明になっており、「みんなが言っている」という情報の物量によって、学生の間では“真実”になっていきます。

 

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「TOEICのスコアは課金すれば取得できる」

 

違法もしくは新手の詐欺かと思いましたが、よくよく調べると「英会話学校などのコース内に、TOEIC ipの受検権がついており、好きな時に受検できる」ということのようです。

ただし、「だからこの英会話学校のコースに入ろう!」という新手の勧誘行為である可能性は消えない訳ですが…。

 

若者はソシャゲを通じて「課金すればチートが手に入る」という仕組みになじんでしまっており、就活を入口とした少額詐欺疑い案件は枚挙に暇がありません。

 

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▼学生の情報入手・活用の様式を踏まえた上で、ファクトによる啓蒙の取組みが必要

 

学生が噂に一喜一憂しているうちはよかったのですが(よくはありませんが)、

「企業の採用活動への実害」「学生の詐欺被害」などが視野に入ってきました。

 

大手企業については(人目を引くために)固有企業が名指しされていることも多く、自社の噂については定期的なリサーチをお勧めします。

(SR編集部で目にした場合は、個別にお知らせいたします)

 

弊社でも、アンケートなどに協力してくれる学生への注意喚起を行っていますが、

企業の皆さまによる採用広報(イベントやサイト・メールなど)でも、事実無根な噂について明確に否定していく必要が出てきていると思います。

 


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