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【9月の採用市場ウォッチポイント】(1)


【25卒】学生が老舗ナビサイトへ回帰?

「イベント・企業発見」の使い勝手を評価

株式会社ピボット 代表取締役/ブランドコンサルタント ⻄山亜矢子


 現在、25卒インターンシップ評価のアンケート&インタビューを実施中です。

 

本編であるインターンシップに関するレポートは9/27号での公開を予定していますが、

周辺の話題として語られた中にいくつか興味深い情報がありましたので、今週・次週の2号をかけてご紹介します。

 

今週は、25卒の(広義の)ポータルサイト活用についてお伝えします。

 

 

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▼上位校向けのナビは「ワンキャリアが主軸」のはずだった

 

 

1990年代末には、リクナビがデファクトスタンダードでした。

 

しかし、「デザイン性が低い統一フォーマット」「平板で読ませる魅力のないコンテンツ」が大量掲載されている大手ナビサイトは、

徐々に大手企業と上位校学生の支持を失っていきました。

 

2010年代にはアンチテーゼとして、「ターゲット限定(特に上位校)」「裏情報っぽいコアな情報」「読ませるブログ」として始まった外資就活ドットコムが人気を博します。

 

そして現在の学生の標準的なポータルサイト活用状況は、

「上位校向け総合情報サイトとしてはワンキャリアが主軸」「オープンワークとオプチャで口コミ評価を補完」

と見られていました。

 

 

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▼一周回って「マイナビ・リクナビに回帰」する学生

 

 

上記のような状況理解を踏まえ、企業側は「今最も学生にリーチできる(広報効果がある)媒体」と見て

ワンキャリアを活用しているのではないかと思います。

 

一方、学生の側は意外にも、「イベント情報などはマイナビやリクナビなどの老舗ナビサイトで探す」と語りました。

かつて飽きられた「画一的な情報提供」が、「見やすく/探しやすいUI」として、デジタルネイティブ世代に再評価されていたのです。

 

スタンダードな使い分けの詳細は以下の通りです。

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(1)「新しいイベントや企業の発見」「基本情報の確認」「マイページへの着地」まで:マイナビやリクナビ

(2)しっかりした「企業研究」:好みの情報源

(3)「応募後の選考対策」:ワンキャリア

(4)「受験時の情報収集」:オープンチャット

(5)「(インターンなどの)参加前後のネガティブチェック」:オープンワーク

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学生から見ると、ワンキャリアは企業情報サイトというよりは、受験口コミサイトなのです。

 

(ちなみに「応募後の履歴・予定管理」は外資就活ドットコムが優れているのだそうです。

最初から受験企業を絞り込んでおり、受験企業を拡げるつもりがない学生にとっては、

「イベントの発見」工程も外資就活ドットコムの使い勝手がよいそうです)

 

 

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▼アプリのUIは「圧倒的にマイナビ>リクナビ」との評価

 

 

また、「新しいイベントや企業の発見」「基本情報の確認」などは、【スキマ時間に行いたい】という理由で

PCブラウザ版ではなく、スマホアプリ版が好まれています。

 

そして、アプリ版でマイナビとリクナビを比較すると、【ユーザビリティでマイナビ一択】なのだと言います。

 

スマホアプリの画面を投影しながら、具体的に確認していったところ、両者の掲載情報(コンテンツ)には大差がありませんでした。

問題にされているのはほぼユーザビリティ(操作性)で、それも非常にきめ細かな気配りの積み重ねが差を生んでいました。

(特に、トップ画面のそれは影響大でした)

 

ブランドコンサルタント目線で言語化すると、マイナビの方がリクナビより優れていた点は次の通りです。

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(1)バナーやパーツに至るまで、デザインテイストが統一されている

(2)ボタンに対する文字の量とサイズが、徹底的に配慮されている

(3)最初に(=画面上の上部で)見せるべき情報が、学生のニーズとより一致している

(4)企業が入稿したテキスト(文字原稿)に対し、レイアウト上の読みやすさの工夫(改行など)が施されている

(5)リロードの待ち受け画面が明るい(リクナビは暗くなる)

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いずれも、細部の最適化の徹底です。

 

正直、私は精査していくまでマイナビとリクナビの違いが分かりませんでした。

しかし、学生はみなリクナビのトップ画面を一瞥すると瞬時に、「あ、古い」「何か不快」「見にくい」と口にし、

図らずもデジタルネイティブ世代の感覚を目の当たりにしました。

 

(採用担当者への)営業時にはメリットとして提示されていたであろう点も、リクナビのUIの悪さの要因になっていました。

サービサー(媒体社)・出稿者(企業)・ユーザー(学生)の間で、感覚がズレているのです。

 


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