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【24卒】業界動向解説<商社編>


 ●ブランドポジション(人気・併願傾向等)

 

*引き続き他業界のトップ企業と併願されるポジションであり、昨今の学生の企業選択基準である「就活偏差値」の上位に君臨。政府系金融との競合はかつてよりは弱い。

 

*コロナ禍や売り手市場傾向を受けてか学生の就活意識がフワッとしており、「なんとなく商社」という選択パターンに復活の兆しがある。

 

* 「選考進捗で先行する他社からの内定を受け、(当初は志望していた)商社の受験を断念する」ケースが少なくない。

その一方で、非常に早い段階でコンサルや外資系企業の内定を得た学生が「入社の意志を固めきれなかったことで、(当初は志望していなかった)商社の受験を再検討するに至る」パターンも見られる。

 

*トップ学生の商社志望は三大商社(三菱商事・三井物産・伊藤忠商事)に集中。「二大商社+伊藤忠」という言い方をする学生もいる。

一方、「三井物産のみ他の2社との競合が弱い(重複内定者の知人を見かけない)」という声もある。

 

* 「体育会で陽キャでないと(商社には)入社できない」という固定観念が広まっている懸念がある。

 

* 「BtoCビジネス/マーケティング」 を志望する商社受験者が増加傾向。かつてはBtoCと言えば伊藤忠、次いで住友商事を上げる学生が多かったが、現在はイメージが分散。

 

*学生にとって「ビッグスケールなBtoBビジネスのブランドパワー」が(商社に限らず)全般的に低下しており、そのことは商社ブランドに対しても強くマイナスに働いている。

 

*丸紅が「新卒採用数の男女比1:1」を標榜するなど、商社側のアピールも奏功してか、女子学生が以前よりカジュアルに商社を志望しはじめている。

 

 

●スケジュール

 

三菱商事住友商事が明示的に3月選考を導入。5大商社は、3月選考と6月選考の2ブロック制に収れんしてきている。

三菱商事以外は、3月選考はインターン参加者中心に案内される。

 

*23年は一部の選考が年明けに始まるなどしていたが、それらは3月選考へとまとまっていった。また、6月に内定を出すコースについては、選考のスタートを遅らせる(3月開始→4月開始)動きも見られ、一律に早期化したわけではない。

 

丸紅は、コース設定のみならず、同一コース内でも多様な選考ルートが準備されている。

 

* 6/1に選考を開始した学生に対しては、例年同様の6/2~6/3には内定出しが始まるスピード選考が主流。 

 

 

●選考プロセス・手法

 

*インターン経由の内定出し(比率)は増加する傾向。

 

三井物産では、インターン参加が本選考参加の条件(入口)。より早期に実施する専門性を特定したインターン3種(マーケティング、DX、修士・博士課程向け)と、4~5月に実施するオープンインターンがある。参加後の座談会イベント→インターン通過者に対する6/1~の最終面接→6/2以降の懇親会や本社呼び出し等、(内定受諾の)クロージングプロセスにも隙がない。

 

*3月選考を導入した三菱商事は、3月の5大商社合同イベントでの導入説明・5月のyoutube配信での情報開示などで受験者の不安払しょく・コントロールに成功し、新選考プロセスの高い成果につながった。

 

*商社独自の設問傾向として、ESでは「学生の人柄を探ることに特化したもの」が目立ち、企業理解を求める質問は最小限あるいは求めないこともある。住友商事では、一般的なES(ガクチカや志望動機等)は求められない。

 

* 昨年・一昨年と二年連続でオンライン面接ツールharutakaに不具合が発生したため、三菱商事はzoom、三井物産住友商事はteams、伊藤忠商事はskypeをそれぞれ利用。発話・通信環境の優劣は学生からもコメントが多く、企業が考えるよりも影響は大きいと思われる。

 

*最終面接は基本的に対面で実施。

 

三菱商事三井物産は引き続きケース面接を実施。設問やフィードバックの傾向を観察すると、コンサルのケース面接評価がMECE・ロジックの整合性を重視しているのに対し、商社のケース面接では社会やビジネスに対する感度の高さ、実現可能性の高い施策の構築力を重視していると見られる。


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