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【1月の採用市場ウォッチポイント】


オンライン、タイパ就活…24卒学生とのコミュニケーションのポイント

株式会社ピボット 代表取締役/ブランドコンサルタント ⻄山亜矢子


 

新卒採用市場は広報活動がピークアウトし、これからは本選考に向けて

「エンゲージメントを高めるフォローアップ」「最適化した選考基準の準備」

などを行うべき時期です。

 

そうした活動に取り組むにあたり、踏まえておくべき24卒学生に固有のコミュニケーション・ポイントを、以下の3つの切り口でご紹介します。

 

▼入学した時からオンライン生活

▼タイパ志向で好まれたスカウト就活

▼起業や長期インターンはありふれた経験

 


▼入学した時からオンライン生活

 

(1)オフラインの所作への苦手意識

 

オンラインでの面談・面接は、むしろ社会人よりも慣れています。

生身の自分を見て欲しいという意味でもオフラインの選考を忌避する気持ちはありませんが、未体験ゆえの不安を抱きがちです。

 

具体的には、「受付」「入退室(ドアノック、ドア開閉など)」「お辞儀や座るタイミング」など、所作系のマナーが体得できていないため、非常に緊張感があるようです。

 

選考側の視点としては、(特に1〜2月などの早いタイミングでは)学生の所作からくる印象で評価をし過ぎない方がよいと思います。

本来の実力の相対比較を誤ってしまう可能性があるためです。

 

 

(2)オンライン志向/オフライン志向でライフスタイルが分かれる

 

流行開始から約3年が経過し、社会はウィズコロナのライフスタイルに移行しました。

それを受けて「以前のオフライン生活を再開」する派、「性に合ったのでコロナの流行状況に関わらずオンライン生活を継続」する派に学生が分かれています。

 

アルバイトや長期インターンを選ぶ際に、「オフライン勤務中心か、オンライン勤務中心か」を最重要の判断軸にする学生も少なくありません。

 

この3年で、個人にとって快適なライフスタイルが(自覚的に)多様化したことは、「働き方のスタイルによって入社企業を選ぶ」というスタンスを加速させることが考えられます。

 


▼タイパ志向で好まれたスカウト就活(ダイレクト・リクルーティング)

 

(1)学生優位という勘違いの発生や、企業との関係性が希薄化するケースも

 

スカウトメールを送るということは、「企業側から学生を求めた」形です。

必然的に学生の側には、お願いされたから対応したという気分が生まれ、スタート地点から学生上位の関係性(という誤解)になります。

 

また、学生からすると「登録しているサービスから連絡が来た」形のため、企業からの個別・直接の案内であっても、ベンダーからの案内を受け取るユーザーのような感覚が混入します。

間にワンクッションあるような、繋がりの薄さがそこにあります。

 

そうした初期の関係性を引きずったままエントリーや選考に進まれると、事後にディスコミュニケーションの大きな原因となります。

事前のフォロー活動などで、関係性を引き直したり、エンゲージメントを強化しておく必要があります。

 

 

(2)登録したまま「取り残されている上位校学生」がいる可能性

 

スカウトサービスの多くは、「個人に関する情報の追加登録・更新/ログインが頻回な学生」を優先的/有望なスカウト対象とすることを推奨しています。

 

したがって、初期に登録したまま放置し、(関心を惹かれるような)案内が全く来ず受け身で待っていた結果、就活が遅れている学生群が存在します。

自分自身のプロフィール(学歴・所属などのデモグラフィック属性)に自信を持っていたため、定性情報などの更新をしなかった上位校の学生などもそこに含まれます。

 

定性情報の更新やログイン歴は、アクティブ会員かどうかの判断軸にはなりますが、学生が優秀かどうかの判断軸にはなりません。

もしスカウトサービスをご利用中でしたら、「アクティブ会員ではないがプロフィールが魅力的な学生」にアプローチしてみてもよいかもしれません。

隠れたブルーオーシャンの可能性があります。

 


▼起業や長期インターンはありふれた経験

 

(1)オフラインバイトの代替/留学やギャップイヤーのような気楽さ

 

継続中のスタートアップブームを背景に長期インターンの募集は拡大しており、学生からすると、難なく発見し気軽に体験できる機会になっています。

コロナで減少したオフラインバイトの代替機能も果たしています。

 

起業についても同様の傾向は見られます。

「デジタル×事業創造」人材の担い手を大量に生み出し、確保すべく、起業を支援する学内外の機関が増え続けています。

そうした機関を利用して学生起業をした先輩なども身近な存在となっており、留学やギャップイヤーのような気軽さで起業に挑戦できる基盤が整いつつあります。

 

 

(2)スカウト条件などに使われがちだが、体験の質の判定は難しい

 

一気に大きな潮流となった感のあるDX人材需要の波は新卒にもおよび始め、起業や長期インターン経験は、学生をスカウトする際の条件や、エントリー者をスクリーニングする要素に利用されています。

 

ただ、先に述べたように、起業や長期インターンは参加・体験のハードルが非常に下がっている点に注意が必要です。

スタートアップや学生起業は事業サイズが小さいため、文字面上は肩書や裁量のサイズがきらびやかだったとしても、内実が伴っていない場合が大半です。

実際の体験のレベルは、しっかりヒアリングしないと分からないと言えます。

 

しかし、リクルーターや面接官の多くは学生時代に同様の体験をしていないため、既定どおりのヒアリングではその質を判定するのは困難です。

関連知識を持った社員を充てる、もしくは判定に必要な知識の事前インプットが必要になるでしょう。

 


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