「選考直結インターン」こそ使いどころを明確に
株式会社ピボット 代表取締役/ブランドコンサルタント ⻄山亜矢子
▼学生は「選考直結自体」は既定路線と認識
イマドキの学生はあらゆる活動において「タイパ(タイムパフォーマンス)」を重視していると言われ、そのことは弊社のインタビューでも強く感じます。
就活(=各種施策への参加)の選択行動でも、タイパ重視のスタンスは変わりません。選考直結度が高いほど就活(参加)のタイパが高い点については歓迎されています。
地方との情報格差、参加できない体育会や留学生の機会損失、早期ルート1本化による選考機会の減少など、懸念も持っていますが、先輩や就活サイトなどの情報からインターンが選考に直結していることは既定路線と捉えている印象です。
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▼「選考直結インターン」は適用範囲を広げすぎるとデメリットもある
今回の議論とは無関係に、選考直結(あるいは選考に影響を及ぼす)インターンは増加傾向にあり、学生の中では実態以上に「インターン=選考直結」という受け止めが進んでいました。
しかし、それによる負の影響も顕在化してきています。
「選考に直結しない」インターンの選考落ちやイベントやセミナーの抽選漏れについても、「本選考に落ちた」と解釈してその後の受験をあっさり断念する行動様式が出てきました。
落ちたり抽選に漏れた本人だけではなく、その周囲にも「この企業はもう採用が終わった」という印象は広がります。
インターンを特定の時期に固め打ちすると、それ以外の時期の応募が不活発になる恐れがあります。
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▼実施時期が集客層におよぼす具体的影響
時期によって就活に流入してくる学生層は異なり、SR編集部の整理では次の通りです。
夏期:「外資併願者」「採用ベンダーから声がかかりやすい特定母集団(※)」
秋期〜冬期:「夏期に外資のインターン選考に漏れた(あるいは外資と合わないと感じた)学生」「日系も主軸にしている優秀層」
早春〜:「冬まで部活をする本気の体育会学生」
(※)採用ベンダーは、固有にネットワークしている学生団体などに対して、早期から友人紹介の依頼や頻回なメールDMを開始しています
インターン実施時期の設定によって、すくい上げやすい層が(上記の通りに)変わります。
逆に、特定の時期に固め打ちすると、それ以外の層を取りこぼす恐れがあります。
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▼カリキュラムが集客層におよぼす具体的影響
当然ではありますが、カリキュラムの内容も集客層に影響を与えます。
今回、注意喚起をしたいのは「本格的な分析を伴う提案グループワーク」の濫用です。
このカリキュラムは、コンサルなどの受験経験が豊富な就活強者/言語力・論理力が優れているタイプが集まりがちですし、そのような参加学生が優秀に見えるという施策でもあります。
「ワーク好きの学生が『腕試しのビジコン扱い』で参加してきやすいカリキュラム」でもあり、冬以降の開催では、優秀だが内定や入社につながらない学生中心に動員してしまうリスクが高まります。
また、総拘束時間が長くなることが多いため、自身の活動に心血を注いでいるタイプの理系院生や体育会学生は、こうしたカリキュラムへの参加に対して慎重です(この方法だけではリーチできない層がある)。
定番の人気のカリキュラムですが、「ターゲットを問わず多用する」「このカリキュラムだけに著しく偏る」ことはお薦めできません。
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▼「ターゲット×狙いの明確化」でメリットを最大化する
選考直結インターンは「強い」施策です。
したがって、他の施策以上に「どのターゲットにどのような効果を出しに行くのか」「ターゲット外の学生にはどのような影響が考えられるのか」を検討して明確に言語化し、メリットを取りつつデメリットを軽減する必要があります。
最終的な指針になるのは、「自社はどのようなタイプの学生をどのような比率で取りたいのか」という内定者像のポートフォリオです。
強力な施策の影響でポートフォリオが崩れてしまったら意味がありません。
(「インターンで頭脳派が採れたが、普段採れていた素朴な層の確保に失敗した」などという話も聞きます)
強力な施策こそ、全体を俯瞰して使いどころを位置付けていただきたいと思います。
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