新卒採用市場においても年々、逆求人サービス(※)の存在感が増し、企業・学生双方で利用が拡大しています。
実際、学生はどのように逆求人サービスを利用・評価しているのでしょうか。
今号では、22卒・23卒のトップ学生へのヒアリングをもとに、学生側のサービス利用の実態と企業側の打ち手についてご紹介します。
(※)学生側がプロフィール・自己PR・適性診断結果などを公開、企業側がそれを元に興味のある学生にオファーを送り接点を持つマッチングサービス。学生は主に、iroots、offerbox、キミスカなどを「逆求人」サービスと総称
(※)ヒアリング人数: 22卒(29名) 23卒(21名)
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▼iroots、offerboxなどを「とりあえず登録」(22卒・23卒とも)
学生にとっては「ローコストで手っ取り早く始められる」逆求人サービス。そのため「とりあえず登録」派が全般に多いようです。
今回ヒアリングした上位校学生では、22卒・23卒ともにiroots、offerbox、ビズリーチキャンパスの利用率が高い傾向が見られました。
ビズリーチキャンパスについては「OBOG訪問アプリ」と認識している学生も少なくないため、オファーが来て驚いたという声も聞かれました。
▼そもそものオファーへの期待値により、オファー受諾数が決まる傾向(22卒・23卒とも)
代表的なオファーには、企業説明会/特別選考会/通常選考の案内などが挙げられます。
学生がサービスに登録した目的と、オファー受諾数やサービス満足度には相関がみられました。「オファー受諾数が多い/少ない」で分類した、それぞれの学生の特徴は以下のとおりです。
●オファー受諾が多い学生(10回以上)
・登録目的:知らない業界や企業を知るため。特別選考がきたらラッキー
・オファーへの期待値:比較的低い。志望業界以外からの優遇無しの「説明会」も受諾
・サービスへの満足度:多くのオファーを受諾し、満足度は比較的高い
●オファー受諾が少ない学生(1〜3回程度)
・登録目的:志望業界・志望企業の特別選考にのるため
・オファーへの期待値:比較的高い。それゆえ優遇内容を吟味、説明会は受諾せず
・サービスへの満足度:期待した企業からのオファー数によるが全般的に期待外れとの声が多く、満足度は低め
▼23卒では、知らない企業からのオファーでも志望業界内なら肯定的な受け止めも
23卒学生には、「志望業界内の知らない企業からのオファー」は肯定、一方で「志望業界以外の企業のオファー」には否定的な受け止めをする傾向も見られました。
「ともかくさまざまな業界の情報を広く集めるため」と割り切る一部ヘビーユーザーを除くと、おおよそ学生の狙いは「志望業界(うまくいけば志望企業)からのオファー」と推察されます。
そのため、志望外のベンチャーからくる頻繁なオファーが煩わしく、利用しなくなった学生も一定いました。
▼サービス未利用の22卒学生は、他で接点が持てていたり、登録企業のレベルを指摘
サービスを利用しなかった22卒学生は、以下のような理由を挙げています。
「興味ある業界や企業との接点は十分持てた」
「OB訪問経由で志望企業との接点を持てていた」
「逆求人サービスに登録している企業の多くが魅力的ではない。名前も知らない中小企業やベンチャー企業が多い」
「能動的な企業選びが重要」
▼採用側は、学生の自社・自業界への志望度を見極めた上で異なる案内を
学生意識をふまえると、採用側のサービス利用は2つの方向が考えられます。
(1)自社に興味がない/志望業界外の学生へのタッチポイント(情報収集に徹した学生をターゲット)
→説明会含むライトな施策を案内
志望業界とのコラボ施策は有効か
(2)自社に興味がある/志望業界に入っていそうな学生の囲い込み
→特別選考、選考免除などを案内
優遇がない案内は志望度を下げる可能性も
上位校学生には相当数のオファーが届きます。
自社で求める要件(志向、意識・行動傾向、専攻、経験など)を明確にした上で、当てはまる可能性があるプロフィール要素を慎重に判断し、ターゲット学生を適切に設定することが重要です。
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【参考】逆求人サービスに関する23卒上位校学生の声(ヒアリング内容抜粋)
▼参加満足度が高いイベント・施策
「選考直結説明会。インターンの録画面接や適性検査が免除になったため」
「書類選考免除など、一部選考が免除されるもの」
「志望業界の少人数座談会(社員さんと少人数で話すことができ、知らなかった会社だったが雰囲気がよく、惹かれたから)」
▼参加満足度が低いイベント・施策
「志望業界以外の説明会(最後まで興味が湧かなかったため)」
「特別面談と銘打たれた1on1面談。連絡がしつこい企業もあり対応に手を取られた」
「業者経由のスカウトが来て受諾した。電話が来たので面接に参加したら、本質的でない質問ばかりされて落とされた。また、将来やりたい仕事を答えたら否定されたのでかなり印象が悪い」
▼新卒採用における逆求人サービスの今後
●拡大派
「就職に関する不確実性が増していくと予想する中で、受け身でオファー情報が来ることが就活生にとって有用に感じられることも多いと思う」
「対面の説明会が減少し、偶発的な出会いが減っているように感じる。だからこそ、企業も自分たちの会社の認知を広めていくために活用していく」
●現状維持もしくは衰退派
「とりあえず利用はしても、内定につながることは少ないように思う」
「やはり自分の志望する業界には自分から選考を受けに行くため」
「逆オファーはあくまで就活の補助であり、積極的に使っている人をあまり見かけないため」
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